インドネシアのラマダン期間、ビジネスで何に気をつける?実務ポイントを解説― ビジネスマナー・贈答品(パルセル)・営業時間のポイント―

インドネシアでは毎年、ラマダン(断食月)が訪れると、街の雰囲気やビジネスマナー、営業時間を含むビジネス環境が大きく変化します。人口の約9割がイスラム教徒と言われるインドネシアでは、ラマダンは単なる宗教行事ではなく、社会全体が特別な空気に包まれる季節です。
特にインドネシアにおけるビジネスの現場では、ラマダン期間中は日中の活動量が変化したり、食の習慣や勤務時間の調整が生じたりと、日本とは異なる状況に遭遇することが多くなります。この時期の文化や習慣をあらかじめ理解しておくと、現地のパートナーや同僚との関係づくりがスムーズになり、安心して業務を進めることができます。
ここでは、インドネシアをご訪問予定の方や駐在員が押さえておきたい
- ビジネスマナー
- 贈答文化(パルセル/parcel)
- 営業時間の変化
について詳しく紹介します。
ラマダン中のビジネス上のマナー
ラマダン期間は、イスラム教徒が日の出から日没まで飲食を断ちます。これにより、日中の仕事の進め方にも影響が及ぶため、ビジネスシーンではいつも以上の配慮が求められます。
- 食事・飲み物への気遣い
会議参加者がイスラム教徒かどうかに関係なく、会議中の飲食やコーヒー提供は控えめにしておくことが望ましいです。普段は何気なく提供しているウェルカムドリンクや軽食も、この時期は遠慮するのが無難です。
もし飲食を行う必要がある場合は、断食中の方が目にしないよう、休憩室や控室など、目立たない場所で行うことが望まれます。小さな気遣いですが、相手から信頼を得るきっかけになるでしょう。
- 会議や商談は午前がベター
毎日の断食明け直前の夕方は集中力が落ちる傾向があるため、一般的には朝から昼の時間帯が最適とされています。特に重要な商談や交渉は午前中に設定するのが安心でしょう。
午後の会議を設定する場合は、短めに切り上げられるようアジェンダを明確にする、資料共有を事前に済ませておくなどの工夫が役立つでしょう。
- 退勤時間の変動と理解
イスラム教徒にとって断食明けの食事(イフタール)は、家族や仲間と囲む大切なひとときです。そのため従業員は就業時間を守りつつも、定時ぴったり、または若干早めに退社する場合があります。
現地ではこうした勤務スタイルが文化として受け入れられており、むしろ自然な行動です。夕方以降の連絡が返ってこないことも珍しくありません。日本との感覚の違いを理解し、スケジュールを組む際は時間に余裕を持つとよいでしょう。
ラマダン〜レバランの贈答品文化・パルセル
ラマダン明けの祝祭「レバラン(イドゥル・フィトリ)」は、日本のお正月に近い位置づけです。家族が集まり、身近な人に感謝や謝意を伝える期間でもあるため、企業間や取引先同士でも贈答の習慣・パルセルが見られます。
- よく選ばれる贈り物
贈答品は日常の食卓で役立つものが好まれます。代表例としては次のようなものがあります。
- クッキー(ナスタル、カステンゲル、プトリサルジュ)
- ナッツやドライフルーツ、チョコレート
- 食用油、砂糖、調味料など家庭用パッケージ詰め合わせ
- 高級紅茶、アラビックコーヒー
- ギフトバスケット(ハンパー)
最近では健康志向のバスケットや、ローカルブランドを詰め合わせたオリジナルギフトも人気です。
*ビジネスでの贈答ポイント
贈答品はレバラン前の2週間がピークになります。ギフトショッピングモールやオンラインショップも混み合うため、日本から送付する場合も早めの手配が必要です。
また、贈り物にはカードやメッセージを添えることが一般的です。
定型文としてよく使われるのが、以下のような挨拶です。
形式的に感じるかもしれませんが、こうした表現を添えるだけで丁寧な印象を与えることができます。
ラマダン期間中の営業時間の変化
ラマダンの間は社会全体の生活リズムが変わり、行政や商業施設の運営時間も調整されます。知らずに訪問すると「閉まっている」「人がいない」といった事態に遭遇することがあるかもしれません。
- 行政・公共サービス
行政窓口は午前中のみの対応になるなど、通常より開庁時間が短くなることが多く、昼休憩も長めに取られる傾向があります。ビザ申請や許認可手続きは混雑する場合があるため、予定の前倒しを検討しておくと安心です。
- ショッピングモール・飲食店
多くの飲食店は日中クローズ、または店を閉めたまま運営されています。日没後になると人が一気に増え、イフタールの時間帯は大変な賑わいになります。特に人気レストランでは、事前予約が必要になることもあります。
また、ファストフード店やデリバリーサービスは夕方以降に注文が集中するため、利用時にはいつも以上に時間に余裕を持つことがおすすめです。
- 交通機関の混雑
通勤や帰宅の時間帯がずれることで、夕方の混雑はぐっと増える傾向があります。バスや電車が運行時間を調整することもあり、特に18時前後は交通量が増えて渋滞しやすくなります。
渋滞を避けるためには、移動を少し早めに済ませておくか、必要に応じてオンライン会議に切り替えるなど、余裕のある行動がおすすめです。
まとめ
インドネシアのラマダンは、断食という宗教行為にとどまらず、商習慣や贈答文化、生活リズムのすべてに影響を与える大きなイベントです。ビジネスの場でも、食事への配慮や会議時間の調整、贈答品の準備、そして営業時間や人々の生活リズムの変化を踏まえた対応が求められます。こうした文化を理解し尊重する姿勢は、取引先との信頼を深めることにつながり、結果として、より良いビジネスチャンスを広げることにもつながります。
日本とは異なる習慣を知り、合わせていくことは、現地で働くうえでの大切な一歩です。ラマダンの時期を前向きにとらえ、インドネシアとのビジネスをさらに豊かにするきっかけにしてみてはいかがでしょうか。
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