インドネシアの米生産が過去最高:輸入ゼロ達成と価格高騰の課題

インドネシアでは長らく米の輸入に頼ってきましたが、政府は食料自給率向上に向けてさまざまな施策を展開してきました。
2025年初頭、プラボウォ大統領は米の輸入停止を決定し、インドネシアの食料安全保障は新たな段階に入りました。
本コラムでは、インドネシアの米備蓄量や政府施策、さらに価格高騰という新たな課題についてご紹介します。
インドネシアの政府備米が過去最高を更新
2025年5月時点でインドネシアの政府備蓄米は370万1006トンに達し、1969年の国家物流庁設立以来、最高記録を更新しました。
また、それに伴いインドネシアのプラボウォ大統領は米の輸入を停止しました。
過去最高の備蓄量に至った背景として、以下のインドネシア政府の施策が挙げられます。
- 籾米の買い取り価格の引き上げ
- 肥料への追加補助金
- 農業機械の強化
- 土地の最適化
- 灌漑設備の改善(ポンプ導入)
その他に、収穫した米を蓄える倉庫を約2万5,000棟建設しています。この倉庫は、米が必要とされる地域に優先的に建設しています。
このように農業大臣を主導として、各省庁との連携による政府は農家に対して様々な援助を打ち出し、米の生産性を高めることに成功しました。
インドネシアにおける米の輸入ゼロ
2023〜2024年には700万トン(約100兆ルピア)の米を輸入していましたが、2025年は現時点で輸入ゼロを達成しています。
また、国家食糧農業庁長官のアリーフ氏は、2025年の米の生産量は3,137万トン、消費量は3,097万と予測されており、最終的な余剰は933万トンになる予想であると述べています。
インドネシアの米輸入ゼロの影響は、インドネシアが米の最大の輸出国であったタイに大きな影響を与えています。
タイからの米の輸入は、インドネシアの米の総輸入量の約30%を占めていました。
また、ベトナムやカンボジアからも米の輸入を行っていたため、インドネシアにおける米の豊作は近隣国の貿易に影響を与えています。
参考WEBサイト:https://indonesia.go.id/kategori/ekonomi-bisnis/9356/cadangan-beras-melebihi-3-7-juta-ton-indonesia-menuju-kemandirian-pangan?lang=1
https://nasional.kontan.co.id/news/mentan-tegaskan-kini-tak-ada-impor-beras-surplus-48-juta-ton-pada-september-2025#:~:text=Mentan%20Tegaskan%20Kini%20Tak%20Ada%20Impor%20Beras%2C,4%2C00%200%2C02%25%20*%20IDX%208.025%2067%2C48%200%2C85%25
https://www.idntimes.com/business/economy/produksi-diprediksi-naik-stok-tersedia-ri-tak-impor-beras-pada-2025-00-lx3cr-64g4cr
インドネシアの米の生産量の増加
インドネシア中央統計局(BPS)によると、2025年1月から6月までのインドネシアの米の生産量は2,176万トンに達し、前年同期比より14.49%増加しました。
米国農務省(USDA)の報告によると、インドネシアの米の生産量は2025年に3,460万トンに達し、目標の3,200万トンを上回りASEAN最大の生産量になると予想されています。
また、2024年にインドネシア政府は、国際連合食糧農業機関(FAO)から食糧安全保障強化を評価するアグリコラメダルを授与しました。
インドネシアにおける米の価格の高騰という課題
政府備蓄米が十分に確保できている一方で、米の価格は高騰しています。
中央統計局(BPS)の2025年8月のデータによると、米の価格は191の地域で上昇しており、一部の地域では1kg Rp54,772(約487円)に達しています。
この価格は、*最高小売価格(HET)を大幅に上回っています。
米の価格高騰の原因として、以下の理由が挙げられます。
政府による乾燥収穫穀物(GKP)の価格引き上げ
インドネシア政府は、乾燥収穫穀物の価格を1kgあたりRp6,500に引き上げました。
この政策は、農家の福祉の向上と持続可能な食糧生産の維持のために行なっており、結果的に食料に関する農家交換レート(NTP)が106.2(2024年6月)から109.24(2025年6月)に上昇しました。
農家にとっては良いことですが、この影響で米の流通価格も上昇しています。
非効率な流通チェーン
中間業者が多く、流通過程でマージンが積み重なる構造となっており、それにより価格が高騰します。
小規模精米所と大規模精米所との格差
大規模精米所が価格決定権を握る構造が続き、小規模農家には不利な状況に陥っています。
備蓄米は十分に確保できていますが、米の価格が高騰するという課題が浮き彫りになっています。
今後、インドネシア政府は備蓄米を増やすことに加えこういった流通面での施策も必要であると言えます。
*最高小売価格:インドネシア政府が生活必需品の価格安定のために設定する小売価格
参考WEBサイト:https://nasdemdprri.id/berita/harga-beras-melambung-saat-stok-surplus-masalah-serius-dalam-distribusi
https://www.cnnindonesia.com/ekonomi/20250812060117-92-1261372/mengurai-pemicu-terus-ngegas-harga-beras-di-tengah-banjir-cadangan
弊社インドネシアの取り組み「Soken Rice」
弊社インドネシア現地法人では、代表アルビーの出身地である中部ジャワのボヨラリにて、米の栽培を始めました。名付けて「Soken Rice」です。
Soken Riceは中部ジャワ州ボヨラリを拠点に、2,000㎡の水田でプレミアム米「パンダンワンギ」を栽培し、環境配慮と収益性の両立を目指しています。栽培は①土壌pHを整えるバイオ肥料、②微生物を補う培養土、③害虫を抑える調合ハーブの三本柱で、三期作にも耐える土づくりを進めています。丈夫で収量性の高い同品種を選ぶことで、やや高値ながら安定した収益モデルの確立を図っています。あわせて、収穫前に自然へ感謝を捧げる「ウィウィタン」の儀礼にも参加し、技術革新と地域の文化・共同体への敬意を一体で推進している点が特徴です。


こちらの「Soken Rice」プロジェクトについても、別の記事でご紹介予定です。
まとめ
今回のコラムでは、インドネシアの米備蓄量や生産量についてご紹介しました。
インドネシアは米生産量・備蓄量ともに過去最高を記録し、輸入ゼロを達成しました。
これは食料安全保障上の大きな進展ですが、流通面の非効率性や価格高騰といった課題もあるのが現状です。
今後は、生産拡大から「安定供給・適正価格」の政策が求められそうです。
弊社インドネシア総研では、現地市場の動向調査からビジネス展開のご支援まで、幅広くサービスを提供しております。
インドネシア市場に関するご相談やご関心がございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。


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