【コラム】インドネシアにおける法律相談について

インドネシアの法律は分かりづらく、変更・改正も多いため、最新の正しい情報の取得が難しいのが現状です。
近年、インドネシアへの進出やインドネシアにおけるサービス展開を検討される方は増加傾向にありますが、法的な問題については誰に相談すれば良いのでしょうか?
今回のコラムでは、インドネシアにおける法的サービスの提供並びにリーガルオピニオンの作成に関する規制についてご紹介します。
弁護士法に関する基本規定
インドネシアでは、法的サービスは原則として弁護士のみが提供できるとされています。法的サービスについては、2003年法律18号「弁護士法」(以下「弁護士法」)により特別に規定されており、第1条第2号において、法的サービスとは、弁護士によって提供されるサービスではり、法的相談、法的支援、代理権の行使、代理、付き添い、弁護、その他クライアントの利益のために法的行為を行うことを含むとされています。また、弁護士とは、法廷内外で法的支援・助言を提供する専門職を指します。
当初、弁護士法第31条には、弁護士資格を持たない者が故意に弁護士の職務を行った場合、最長5年の懲役刑および最大5,000万ルピアの罰金が科される旨が記載されていました。
しかし、この第31条については、2004年の憲法裁判所の判決(事件番号006/PUU-II/2004)により違憲・無効とされました。判決理由は「誰もが自由に情報を得る権利があり、情報源を弁護士に限定するのは不当」といものです。その結果、現在はインドネシアにおいては、弁護士でない者も、弁護士の専権業務(例:裁判代理)を行うことはできませんが、法的情報や分析を提供することは許可されました。
実務上の運用
上記のような背景から、現在では、インドネシアでは法学者、法学士、法律の専門家など、弁護士以外の者も、弁護士であると名乗らなければ法的助言やリーガルオピニオンを提供することが可能となりました。(ただし、裁判代理などの弁護士専権業務は引き続き制限されています)
公証人も特定の範囲で法的助言を行うことができます。
これは2004年法律第30号(2014年法第2号により改正)に基づき、以下のように定められています
- 第15条第2項e号:契約書や公文書の作成に関連する法的意見を提供することが可能。
- ただし、第17条により裁判での代理など、弁護士の専権業務は認められない。
以上の説明に基づき、インドネシアにおける法的相談やリーガルオピニオンの作成を行う法的サービスの提供者は、弁護士法第31条の廃止以降、弁護士だけに限られていないことが分かります。現在では、法学の学位を有する者、学者、法学専門家なども、弁護士であると主張したりそのように振る舞わない限り、法的相談や意見を提供することが可能です。
以下は、法的なサービスと対応が可能な範囲の一覧です。
| 項目 | 弁護士 | 公証人 | 法学者・法学士など非弁護士 |
|---|---|---|---|
| 法的助言の提供 | 可能 | 一部可能 | 可能(名乗らない限り) |
| 裁判での代理(訴訟) | 可能 | 不可 | 不可 |
| 法的意見(リーガルオピニオン)の作成 | 可能 | 一部可能(証書関連) | 可能(名乗らない限り) |
| 証書作成に関する助言 | 可能 | 可能 | 不可 |
ただし、実務上、法的サービスや法的相談を専門的かつ職業的に行う場合には、弁護士または特別なライセンスを有する法律専門家が主導すべき場面も多くなってくるでしょう。これは、法令順守および職業倫理の観点から重要です。
インドネシアにおける法律問題の複雑性を鑑みて、企業は社内法務担当者だけに依存するのではなく、外部の法律事務所や専門家と連携することが推奨されます。
インドネシア進出の検討に際しては、弁護士や公証人など、それぞれの職務範囲と法的制限を正確に理解し、適切な法的助言や対応を選択することが重要です。
弊社はインドネシア・ジャカルタにも事務所を構え、専門スタッフを抱えております。インドネシアの法律や規制でお困りの際は、是非弊社までお気軽にご連絡ください。


