【セミナーレポート】日本政策金融公庫様主催セミナーにて”インドネシアの市場・政治・経済から読み解く国内産業の構造と日系企業の戦略”について講演しました

2026年7月9日、日本政策金融公庫様主催のセミナー(インドネシア現地開催)にて弊社代表のアルビーが登壇させていただき、「インドネシアの市場・政治・経済から読み解く、国内産業の構造と日系企業の戦略」と題した講演を行いました。テーマは「2045年に向けた生存と多角化戦略——インドネシアの新たな経済方針の下、自動車産業への依存から産業の多角化へ」です。

セミナーではまず、インドネシアという国の全体像から確認しました。17,000を超える島々、1,300を超える民族、700以上の地域言語を擁するこの国は、多様性の中に強い統一性を持つ社会です。2億8,700万人という人口規模に加え、2045年頃まで続くとされる人口ボーナス期は、今後も巨大な消費市場としての潜在力を持ち続けることを意味します。

名目GDPの推移を日本と比較すると、その勢いがより鮮明になります。日本がアジア通貨危機、リーマンショック、COVID-19という3度のショックを経て2020年代に入り伸び悩む一方、インドネシアは緩やかながらも一貫した右肩上がりの成長を続けており、2025年には1,446億米ドル(BPS/IMF)、2026年には1,540億米ドル(IMF予測)に達する見通しです。

ASEAN域内で見ても、インドネシアの規模は突出しています。2位以下のタイ、シンガポール、ベトナムなどが500億〜600億米ドル台で推移する中、インドネシア一国でその約3倍の経済規模を持つに至っており、名実ともにASEANを牽引する存在となっています。

こうした経済成長の背景には、政権ごとの投資モデルの転換があります。2014年から続いたジョコウィ政権は、有料道路や公共交通、港湾、空港、そして新首都ヌサンタラ(IKN)建設など、政府主導のインフラ整備を軸とした「インフラの時代」を築きました。2024年の政権交代を経て発足したプラボウォ政権は、無償給食の提供や教育、医療といった人的資本への投資を重視する「人間開発の時代」へと舵を切っており、国家戦略に基づく民間主導の投資やメラ・プティ協同組合といった新たな投資モデルが打ち出されています。政治の転換が経済の方向性を変える——この視点は、セミナー全体を通じた重要なメッセージの一つでした。

セミナーの後半では、日系企業にとって特に関心の高いテーマとして、インドネシアの自動車産業の構造変化を取り上げました。現在インドネシアはEV普及率の上昇や中国系メーカーの台頭により、エンジンや排気系統といった従来型部品への依存度が高い企業ほど、構造的なリスクにさらされつつあります。

一方で、これは危機であると同時に、他分野の展開機会でもあります。精密機械加工や金属プレス加工、組立、品質管理といった既存の工場能力を起点に、農業機械、倉庫・物流機器、コールドチェーン関連部品、データセンター向けコンポーネントなど、強みを活かせる分野への多角化が現実的な選択肢となります。当社が推進する「Indonesia Soken Innovation Hub」は、こうした多角化を後押しする仕組みとして、製造現場の生産能力と、政策的需要、大学の研究シーズ、地方自治体のニーズを結びつける役割を担っています。

Indonesia Soken Innovation Hubについて、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

https://www.indonesiasoken.com/news/indonesia-soken-innovation-hub-strategy/
https://www.indonesiasoken.com/news/indonesia-soken-innovation-hub/

自動車需要の減少を待つのではなく、今のうちから次の産業の柱を育てていくこと。国家の投資モデルが転換していく中で、日系企業にもまた、2026年からの数年間を「機会の見極めとパイロット実施」の期間と位置づけ、2045年に向けた強靭な事業ポートフォリオを築いていく姿勢が求められています。今回のセミナーが、その一歩を考えるきっかけとなれば幸いです。

なお、こうしたインドネシア成長性や産業構造の変化とあわせて、実際に市場参入を判断する際には「Kepastian Hukum(法の確実性)」と「Korupsi(汚職)」という2つの観点も無視できません。中央政府と地方政府、あるいは省庁間で規制の解釈や運用が食い違うケースは珍しくなく、許認可や土地・労務関連の法解釈が現場レベルでどこまで一貫しているかは、インドネシア進出後の事業継続性に直結します。また、許認可プロセスや行政対応において非公式な負担が生じる余地も依然として残っており、コンプライアンス体制の構築とローカルパートナーの選定が、リスク低減の鍵を握ります。

インドネシア進出や事業多角化に関するご相談は弊社までお気軽にお問い合わせください。現地の政策動向や産業構造を踏まえた最適な戦略立案をサポートいたします。

関連コラム:
https://www.indonesiasoken.com/seminar/seminar-report/
https://www.indonesiasoken.com/news/mr-albie-will-be-speaking-at-an-investment-event-hosted-by-the-indonesian-ministry-of-investment-bkpm/

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