【コラム】カカオ価値高騰とインドネシアのカカオ生産の展望

現在、ココア製品の需要は世界的に高まっており、供給が追いついていないのが現状です。その影響で、カカオの価格は高騰しており、2024年の価格は前年比123%に達しました。インドネシアは世界有数のカカオ生産国であり、カカオ産業はインドネシア経済を支える重要な柱の一つです。

今回のコラムでは、インドネシアのカカオ事情について、生産量、輸出量などをお伝えします。

参考WEBサイト:https://www.foodbusinessafrica.com/global-cocoa-prices-surge-123-in-2024-amid-supply-deficit/

目次

世界のカカオの需要と供給

国際カカオ機関(ICCO)によると、現在、世界のカカオ生産量は大幅に減少しています。

その主な要因は、世界のカカオ生産量の75%以上を占める西アフリカが、3シーズン連続で悪天候に見舞われ、広範囲で害虫被害や病気が発生していることです。

その影響で、生産量が大きく落ち込みました。

しかし、カカオ製品に対する世界的な需要は依然として高く、供給量を大きく上回っているのが現状です。その結果、カカオの価格も上昇しています。

ナイジェリアでは、カカオの価格が2023年には1トンあたり約1,658ドルだったのに対し、2024年には約7,225ドルと約4倍に高騰しました。

このことから、カカオは需要の高い製品であることがわかります。

参考WEBサイト:https://www.foodbusinessafrica.com/global-cocoa-prices-surge-123-in-2024-amid-supply-deficit/

インドネシアのカカオの生産量

2023年のインドネシアにおけるカカオの生産量は63万2,120トンで、前年より2.84%減少しました。

インドネシアココア協議会のスエタント・アブドエラ会長によると、インドネシアはカカオ製品の生産量で世界第4位を誇ります。生産量は前年より減少しているものの、依然として世界的に見ても高い水準を維持しています。

スラウェシ島がカカオ生産量が多い地域

下図は、インドネシアにおけるカカオの生産量が多い地域とその割合です。

出典:GoodStats、10Provinsi dengan Produksi Kakao Terbesarより弊社作成(閲覧日:2025年2月11日) 
https://goodstats.id/article/potret-kinerja-ekspor-impor-kakao-indonesia-produsen-kakao-terbesar-asia-V9bKJ#:~:text=Sebagai%20salah%20satu%20komoditas%20unggulan,dan%20impor%20kakao%20di%202023?&text=Biji%20kakao%20merupakan%20salah%20satu,bahkan%20menurun%20dalam%20beberapa%20periode.

2019年と変わりなく、依然としてスラウェシ島がカカオの生産量が多い地域となっています。

スラウェシ島の中でも、中部スラウェシがインドネシア最大のカカオの生産量・生産面積を誇り、生産量は125,910トンとなります。

参考WEBサイト:https://goodstats.id/article/potret-kinerja-ekspor-impor-kakao-indonesia-produsen-kakao-terbesar-asia-V9bKJ#:~:text=Sebagai%20salah%20satu%20komoditas%20unggulan,dan%20impor%20kakao%20di%202023?&text=Biji%20kakao%20merupakan%20salah%20satu,bahkan%20menurun%20dalam%20beberapa%20periode.

インドネシアのカカオ農園面積の推移

以下は、インドネシアにおけるカカオ農園の面積の推移です。

出典:インドネシア中央統計局(BPS)、Indonesian Cocoa Statistics 2023より弊社作成(閲覧日:2025年2月11日) 
https://www.bps.go.id/en/publication/2024/11/29/ed255af0c9059f288fb7e1de/indonesian-cocoa-statistics-2023.html

上図より、インドネシアにおけるカカオ農園の面積は減少し続けています。

2019年には、インドネシア全土でカカオ農園の面積が156万ヘクタールでしたが、2023年にはその面積が139万ヘクタールに減少しました。

農園面積の減少には、パーム油やサトウキビなど、収益性の高い作物への転換が主な原因として挙げられます。

また、生産性の低さや、カカオ農家への支払い額が少ないことも、カカオ農園の減少に繋がっている要因の一つです。

インドネシアのカカオの輸出量の推移

以下は、インドネシアにおけるカカオの輸出量の推移です。

出典:インドネシア中央統計局(BPS)、Indonesian Cocoa Statistics 2023より弊社作成(閲覧日:2025年2月11日) 
https://www.bps.go.id/en/publication/2024/11/29/ed255af0c9059f288fb7e1de/indonesian-cocoa-statistics-2023.html

上図より、インドネシアにおけるカカオの輸出量は2022年までは増加していたことがわかります。しかし、2023年に輸出量は減少し輸出額も減少しています。

インドネシアからのカカオの輸出が多い国

インドネシアで生産されたカカオのほとんどは、海外へ輸出されています。

インドネシアのカカオは、アジア、アフリカ、オセアニア、アメリカ、ヨーロッパの各国に輸出されています。

2023年のインドネシアからのカカオの輸出が多い上位5カ国は以下の通りです。

インドネシアからの輸出量が多い上位5カ国(2023年)

  • 1位 :インド (シェア率18.21%)
  • 2 位 :アメリカ(シェア率12.77%)
  • 3位 :中国(シェア率11.73%)
  • 4位 :マレーシア(シェア率10.35%)
  • 5位 :エストニア(シェア率5.32%)

カカオの最大の輸出国はインドで6万1,920トンを輸出しています、次に多いのはアメリカで、4万3,400トンを輸出しました。

上位5位以内に入っている国をみると、アジア諸国への輸出が多いことがわかります。

インドネシア政府の取り組みとEUDRの影響

インドネシア政府は、国内のカカオ農園の生産性を向上させるため、短期的な対策としてカカオ栽培の強化と復興に取り組んでいます。

具体的には、未利用地を活用したカカオの生産拡大や、既存農園の改良を進めています。しかし、政府の対策にもかかわらず、生産量に大きな変化は見られていないのが現状です。

また、2026年1月1日以降、EUではEUDR(欧州森林破壊防止規制)が適用されます。

これにより、EUへ輸出される製品は「森林破壊された土地で生産されていない」ことが求められます。

インドネシアでは、一部のカカオが森林破壊された土地で栽培されているため、EUDRへの対応は政府にとって急務となります。

弊社インドネシア総研は、インドネシアの様々な分野における市場調査、現地視察を行っております。

インドネシアにおけるビジネスにご興味ございましたら、お気軽にお問い合わせください。

参考WEBサイト:https://www.bps.go.id/en/publication/2024/11/29/ed255af0c9059f288fb7e1de/indonesian-cocoa-statistics-2023.html

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