【レポート】HIMBARSI(シャリア人民経済銀行協会)全国調整会議において日本に就労する人材向け金融スキームについてプレゼンテーションを行いました

先日、インドネシアにおいてHIMBARSI全国調整会議&BPRS評価会が開催され、弊社ジャカルタオフィスのスタッフが参加・登壇してまいりました。本レポートではイベントの様子と、インドネシアにおける海外就労者を取り巻く課題についてご紹介します。

目次

HIMBARSIについて

HIMBARSIとは、インドネシア全土のシャリア人民経済銀行協会(Himpunan Bank Perekonomian Rakyat Syariah Indonesia)の略称で、インドネシア全土のシャリア人民銀行(BPRS)を代表する組織です。

HIMBARSIは、BPRSが業界の発展、イスラム金融リテラシーの向上、そして一般市民へのサービス提供範囲の拡大を図るためのプラットフォームとして設立されました。また、会員間の相乗効果を強化し、BPRSの競争力を高めることも目指しています。そして、HIMBARSIは、イスラム金融セクターにおけるBPRSの地位強化において重要な触媒となることが期待されています。

HIMARSI公式WEBサイト
https://himbarsi.com/app/v1/public/page/about

HIMBARSIの主なポイントは以下の通りです。

  • 主な目的:BPRS業界の発展、イスラム金融リテラシーの向上、そしてサービス提供範囲の拡大
  • 重点:会員間の相乗効果、技術革新、人材育成、そして金融リテラシー
  • 活動:全国調整会議(Rakornas)とBPRS表彰式の開催など

インドネシアでは依然として多くの若年層が安定した雇用を得られず、海外就労、特に日本での特定技能(SSW)を通じた就労が大きな関心を集めています。しかし、実際には日本語学校の授業料や日本語試験(JLPT)受験料や渡航の準備などに多額の費用がかかり、資金不足によって夢を断念する若者も少なくありません。

インドネシア政府が用意するKUR PMI(インドネシア海外就労者向け国民事業信用)は有効な制度ですが、実際に利用できるのは雇用契約を結んだ後に限られるため、「契約前の段階」での費用負担が最大のハードルとなってきました。

こうした課題に対し、インドネシア総合研究所ジャカルタオフィス(IRIJ)は銀行と人材候補をつなぐ新しい融資スキームの提供に向けて取り組んでいます。2025年8月に開催されたインドネシア・イスラム地方銀行協会(HIMBARSI)の全国調整会議では、地方銀行(BPR)やイスラム地方銀行(BPRS)を対象に、弊社が取り組みを行う銀行融資のスキームに関する取り組みをご紹介いたしました。弊社のモデルでは、銀行は信用保証を得られ、学生は資金へのアクセスを確保し、結果として日本への就労プロセスがより安全かつ体系的に進められます。

イベント登壇の様子

インドネシアにおける就労の現状

インドネシア中央統計局(BPS)によれば、2025年2月時点での失業率は約4.8%でした。過去に比べて減少しているものの、いまだに数百万人の若い労働者が安定した仕事を持っていません。その中で、日本で働くことは有力な選択肢として注目されています。

日本は高い給与水準、先進的な職場環境、そしてスキル向上の機会を提供する国の一つとされており、日本での就労を希望するインドネシア人は多くいます。現在は「特定技能(SSW)」制度により、日本企業はインドネシア国内の認定職業訓練機関(LPK)と連携し、送り出し機関(P3MI)を通じて人材を直接採用できるようになっています。

しかし現実には、多くのインドネシア人材が「どこで正しい情報を得ればよいか」「信頼できるLPKとどうつながるか」さらには「初期費用をどう準備するか」といった課題に直面しています。

KUR PMI(インドネシア海外就労者向け国民事業信用)とその限界

インドネシア政府は「KUR PMI(国民事業信用制度:海外就労者向けローン)」という仕組みを用意しています。最大1億ルピアまで、年利6%・最長3年で借りられる低利ローンで、渡航にかかる費用をサポートする制度です。

ただし、この融資は「渡航先企業との雇用契約」が結ばれている場合にしか利用できません。契約に至るまでには、まず研修を修了し、SSW認定を取得し、日本語能力試験(JLPT)で語学力を証明する必要があります。こうしたプロセスには多額の費用がかかりますが、多くの学生が資金を用意できていないのが現状です。

さらに商業銀行に融資を申し込んでも、多くの学生は担保を持たず、銀行側も語学研修や資格取得といった「契約前の段階」を対象とする融資商品を持っていないため、門前払いとなるケースが多いのです。

弊社ジャカルタオフィスが示す解決策:銀行と人材をつなぐモデル

インドネシア総研ジャカルタオフィス(IRIJ)は、日本とインドネシアのビジネス・協力を推進する企業として、研修・送り出し・金融を組み合わせた新しいモデルを提案しています。弊社はインドネシア現地にLPKの運営代行を行い、学生に必要な研修を提供すると同時に、地方銀行(BPR)やイスラム系地方銀行(BPRS)との提携を通じて資金へのアクセスを広げています。

この取り組みには以下の2つの特徴があります。

  1. 銀行商品の学生ニーズへの適合
    IRIJは銀行に対し、学生が使いやすい融資制度を用意するよう働きかけています。たとえば、無担保ローン(KTA)を語学研修や資格取得、渡航準備などの費用に使えるようにする取り組みです。
  2. 融資制限(ATMR・BMPD)への対策
    銀行には「どのくらい資金を貸せるか」を決める規制があります。具体的には、リスク加重資産(ATMR)や資金供与限度額(BMPD)といった仕組みにより、貸し出し金額が制限されています。学生の多くは担保を持っていませんが、IRIJが保証人となり、さらに信用保険を組み合わせることで銀行のリスクを下げています。この仕組みによって、ATMRの負担を軽くし、学生ごとに個別のローンを組むことで、銀行は規制の範囲内で安心して融資できるようになります。

HIMBARSI全国調整会議への参加と登壇

2025年8月、HIMBARSI全国調整会議&BPRS表彰式が開催され、このイベントにはインドネシアで全国で1,500を超えるBPRSのうち、124行が参加しました。

弊社もこの会に参加・登壇させていただき、弊社が運営代行を行う学校の特徴、学校事業の中で起こる学生の資金面の課題、そしてそれを解決するための日本への就労を目指すインドネシア人材に対する融資スキームを紹介しました。このスキームは、銀行にとっては新たな金融商品の多角化の機会となり、海外での就労を希望する学生にとっては資金確保の手段となるのです。

弊社は今後もインドネシア現地の銀行との連携を広げ、インドネシア人が日本で就労しやすくなるためのスキーム作りに取り組んでまいります。

インドネシアに関するお問合せはぜひお気軽に弊社までお問合せください。

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