【コラム】インドネシアの労働市場2024年版

人口が世界第4位を誇るインドネシアの労働市場は、東南アジアで最大規模とされています。そのため、インドネシアの労働市場を理解することは、東南アジア進出において非常に重要です。

今回は、インドネシアの労働市場についてご紹介します。

目次

インドネシアの労働人口と特徴

2024年時点でインドネシアの労働人口は1億4,200万人を超え、東南アジア最大規模です。

労働市場の特徴として、労働人口の中央値が30歳と若く、企業の中核を担う人材が豊富に存在している点が挙げられます。

インドネシアの労働参加率

インドネシアの生産年齢人口(15歳〜64歳)のうち、労働力に従事している割合を示す労働参加率は、2023年と比較して増加しています。

2023年8月時点の労働参加率は69.48%でしたが、2024年8月には70.63%に達しました。

人数に換算すると、2023年と比較して440万人の増加となります。

男女比

男女別に比較すると、2024年8月時点で男性の労働参加率は84.26%、女性は56.42%と、男性の方が大幅に高いことがわかります。

年齢別

年齢別では、労働参加率が最も高いのは45〜49歳の83.14%で、次いで40〜44歳の82.26%となっています。

州別

州別に見ると、労働参加率が最も高いのはパプア州(88.22%)で、次いで東ヌサトゥンガラ州(77.5%)、西ヌサトゥンガラ州(77.23%)となっています。
一方、最も低い州はDKIジャカルタ州(66.07%)、アチェ州(65.11%)、北スラウェシ州(66.07%)です。
首都ジャカルタがあるDKIジャカルタ州の労働参加率が低いのは、予想外の結果と言えるでしょう。

インドネシアにおける業種別の労働人口の割合

業種別の労働人口割合は、2023年8月と比較して大きな変化は見られませんが、農林水産業で働く人口が最も多いことが分かっています。

2024年8月時点で、農林水産業に従事する労働者の割合は労働人口全体の28.18%を占めています。

次に割合が多いのは、卸売業、小売業、車両やバイクの修理・メンテナンス業で、全体の18.89%を占めています。

これに続くのが製造業で、全体の13.83%となっています。

また、インドネシアにおける17の業種のうち、10の業種で2023年8月から2024年8月にかけて労働人口割合が増加していることが確認されています。中でも、増加率が最も高かったのは宿泊業・飲食業でした。

インドネシアにおけるパートタイム労働者の割合

以下は、週に35時間未満で働くパートタイム労働者の割合の推移です。

出典:BPS Indikator Pasar Tenaga Kerja Indonesia Agustus 2024を基に弊社作成(2025年1月19日)

インドネシアにおけるパートタイム労働者の割合は、2023年8月と比較して2024年8月にやや減少していることが分かっています。

また、パートタイム労働者の男女比においては、男性よりも女性の割合が高い状況です。

2024年8月時点で、男性のパートタイム労働者は全労働者のうち16.87%を占めているのに対し、女性は34.68%を占めています。

この結果から、男女の雇用均等に関して依然として差があることがわかります。

インドネシアにおける平均月収

2024年8月におけるインドネシアの平均月収は327万ルピア(約3万1,160円)で、2023年同月と比較し、8万9,000ルピア(約848円)増加しました。

男女別にみると、男性の平均月収は345万ルピア(約3万2,877円)であるのに対し、女性の平均月収は277万ルピア(約2万6,397円)と、男女間で平均月収に差があることがわかっています。

また、都市部と地方部を比較すると、都市部の平均月収は地方部の平均月収より高いです。

州別に見ると、平均月収が高い上位3州は、首都ジャカルタのあるDKIジャカルタ州(581万ルピア)に加え、中部パプア州(507万ルピア)、リアウ諸島(491万ルピア)となっています。

一方で平均月収が低い3州は、西ヌサトゥンガラ州(238万ルピア)、東ヌサトゥンガラ州(237万ルピア)、中部ジャワ州(241万ルピア)となっています。

インドネシアにおける失業率

2024年8月時点のインドネシアの失業率は4.91%でした。この数値は、日本の同月の失業率(2.5%)と比較すると依然として高い水準にあります。

しかし、インドネシア国内では、2023年8月時点の失業率(5.32%)から0.41%の減少が見られ、改善傾向にあります。

また、失業者の教育レベルを分析すると、高等学校以上の教育を受けた人よりも、中等教育以下の教育しか受けていない人の方が失業者の割合が多いことが分かっています。

特に中等教育を修了していない層が失業者の大半を占めており、教育水準と雇用の関連性が浮き彫りになっています。

失業者全体の中で、15歳〜24歳の若者が占める割合は52.64%に達しており、若年層の失業が大きな課題となっています。また、この若年層の失業者は地方部よりも都市部に多く存在していることが分かっています。

今後のインドネシアの経済成長を担うべき若年層の失業率が高いことは、労働市場における深刻な課題であり、対策が求められています。

参考WEBサイト:https://hiraku-navi.jp/2024%E5%B9%B48%E6%9C%88%E3%81%AE%E6%9C%89%E5%8A%B9%E6%B1%82%E4%BA%BA%E5%80%8D%E7%8E%87%E5%AE%8C%E5%85%A8%E5%A4%B1%E6%A5%AD%E7%8E%87/#:~:text=8%E6%9C%88%E3%81%AE%E5%85%A8%E5%9B%BD%E3%81%AE,5%E3%83%B5%E6%9C%88%E3%81%B6%E3%82%8A%E3%81%AE%E6%B8%9B%E5%B0%91%EF%BC%89%E3%80%82
https://www.bps.go.id/id/publication/2024/12/16/d96c70fc6be192f04edf7fe0/indikator-pasar-tenaga-kerja-indonesia-agustus-2024.html

今回のコラムでは、2024年におけるインドネシアの労働市場についてご紹介しました。

労働人口や平均月収が増加しており、インドネシア全体として労働力が向上していることが分かります。

一方で、インドネシアの未来を担う若者の失業率が依然として高いことも課題として浮き彫りになりました。

この問題を解決するためには、教育の強化や職業訓練の充実など、若者が働きやすい環境を整備することが重要です。

今後、インドネシアが持続的な成長を実現するためには、労働市場のさらなる改善と、若年層の雇用促進に向けた積極的な取り組みが求められるでしょう。

弊社インドネシア総研は、インドネシアの様々な分野における市場調査、現地視察を行っております。

インドネシアにおけるビジネスにご興味ございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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