インドネシアのピラティス市場は次の投資先?都市部で急拡大するウェルネス産業の実態

インドネシアではここ数年、健康志向とウェルネスブームが都市部を中心に一気に加速しています。ヨガと並んでピラティススタジオが増え、特に若い女性層を中心に「体幹(コア)を整えるライフスタイル」として受け入れられつつあります。本稿では、その課題と背景、そして日本企業にとってのビジネスチャンスを整理します。

    

(写真1)弊社が設立サポートを行ったピラティススタジオ『Pilates Re Bar PIK』(北ジャカルタ)
目次

ピラティス市場の構造的課題

インドネシアのピラティス市場は順調に伸びていますが、同時にいくつかの構造的な課題も抱えています。まず大きいのは、インストラクターの質と資格のばらつきです。国際的に認められたインストラクター資格を持つ指導者もいれば、短期講習の受講だけでレッスンを行うケースもあり、サービス品質にムラが生じやすい状況です。

料金も、インドネシアの中間層以下にとっては決して安くありません。ジャカルタのブティック系スタジオでは、体験レッスンだけでも「ちょっとした贅沢」という価格帯になりがちで、継続利用には可処分所得の余裕が求められます。そのため、現時点ではアッパーミドル層以上が中心顧客となり、「マスメインストリーム化」には価格とアクセスの両面でハードルがあります。

さらに、スタジオの立地は南ジャカルタやスラバヤ中心部、バリの観光エリアなど都市部に集中しており、地方都市では選択肢が限られます。結果として、いまのピラティス市場は「ニッチ〜アッパーミドル向けの都市型市場」という性格が強く、国全体の潜在需要から見ると、まだ初期フェーズにあると言えます。

インドネシア社会の構造変化と新しい消費スタイル

しかし、上記のような制約があるにもかかわらず、ピラティス市場は中長期的な成長産業として注目されています。なぜなら、その背景にはインドネシア社会全体の構造的要因と、新しい消費スタイルの台頭があるからです。

第一に、健康志向と生活習慣病への関心の高まりです。都市化と所得向上に伴い、座りがちなデスクワークや外食中心の生活が増え、「運動不足」「肩こり・腰痛」「体重増加」は多くのビジネスパーソンの共通課題になっています。体幹(コア)を鍛え、姿勢やバランスを整えるピラティスは、単なるダイエットではなく、「将来の医療費を抑えるための自己投資」として受け止められつつあります。

(写真2)弊社が設立サポートを行ったピラティススタジオ『Pilates Re Bar』

第二に、「体験+コミュニティ」型の複合施設が支持を集めている点です。南ジャカルタなどでは、コワーキングスペースやカフェ、ショップと一体になったスタジオが増えています。仕事前後にレッスンを受け、そのままカフェでPCを開き、仲間と情報交換をする―こうしたライフスタイルが、特に20〜40代の都市型中間層にフィットしています。ピラティスは、健康サービスであると同時に、「つながり」と「自己表現」を提供する場にもなっているのです。

第三に、オンライン・ハイブリッドレッスンとの相性の良さです。パンデミックをきっかけにZoomレッスンが一気に広まり、現在も「平日はオンライン、自宅近くで」「週末はスタジオでマシンピラティス」という組み合わせが定着しつつあります。予約や決済、スケジュール管理はアプリを通じて行われ、デジタルネイティブ世代にとって違和感のない利用体験が整ってきました。スタジオ側にとっても、オンラインを活用することで、キャパシティの平準化や固定費の分散が可能になっています。

第四に、投資家から「中長期で有望な成長分野」として認識されつつあることです。ブティックフィットネス、パデル、ピラティスといった新しいスポーツ消費は、インドネシアの都市中間層の「次の消費ブーム」と位置づけられています。インバウンド観光と相性の良いバリのリトリート型ピラティス、在留外国人や富裕層を対象とした英語クラス、理学療法士やスポーツドクターと連携したリハビリ型スタジオなど、高付加価値モデルもすでに動き始めています。

第五に、インドネシアでは富裕層の裾野が非常に広い点が挙げられます。人口が多い国ゆえ、一定割合の富裕層だけでも相当なボリュームとなるのです。さらに相続税が事実上ほとんどかからないため、代々資産を維持しやすい環境にあり、富裕層が減りにくい社会構造が確立しています。こうした富裕層は高品質なサービスへの支出を惜しまず、結果として彼らをターゲットとする市場が安定的かつ大きな規模を持つことにつながっているのです。

このように、健康志向、コミュニティ志向、デジタル化、投資マネー、そして富裕層の多さという複数の潮流が、ピラティス市場を押し上げているのが現在の姿です。

まとめ

インドネシアのピラティス市場は、料金水準やアクセス、指導品質のばらつきといった課題を抱えつつも、都市中間層の拡大と健康志向の高まり、富裕層の絶対的多さを背景に、着実に成長を続ける分野です。さらにSNS発信やコミュニティ性が強く、スタジオは「運動の場」であると同時に「自己表現とネットワーキングの場」として機能している点も特徴的です。

日本企業が参入を検討する場合、国際的に認知された資格を持つインストラクター育成、医療・リハビリとの連携、高品質なデジタルプラットフォームの提供、日本というブランドイメージなど、日本側の強みを掛け合わせる余地は大きいと言えます。インドネシアのウェルネス消費の流れを正しく捉えれば、ピラティスは単なるトレンドではなく、中長期的な投資テーマとして検討に値する分野です。

弊社インドネシア総合研究所が2021年に設立支援を行ったピラティススタジオは、ジャカルタ北部の商業エリアである PIK(パンタイ・インダ・カプック)において、現在も順調に運営しております。

Pilates Re Bar PIK 公式インスタグラムアカウント

設立に際しては、弊社現地法人 (IRIJ) の子会社であるピラティス専門の事業運営会社が、投資家様および事業者様に代わり、現地で働く人材やトレーナーの採用・育成・マネジメントを一括して担います。

ここまでご紹介してきましたように、インドネシアにおけるピラティス事業は、健康志向の高い富裕層のニーズを的確に捉えた、「時流に乗った」成長性の高いビジネスと言えます。弊社では、このような魅力あるインドネシア国内事業への投資機会を、日本の投資家・事業者の皆様に継続的にご案内しております。

ピラティススタジオに加え、人材育成センターやプログラミングスクールなど各種教育・サービス事業への投資案件のほか、皆様のご関心・ご志向に合致するインドネシア事業も個別にご提案いたします。これら多様でポテンシャルに富んだインドネシアビジネスへの投資にご興味をお持ちの皆様は、ぜひお気軽に弊社インドネシア総合研究所までお問い合わせください。

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