【コラム】インドネシア富裕層の増加で高まる訪日観光客
O-DAN
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インドネシアでは経済発展に伴い、100万ドル以上の資産を持つ富裕層が増加しています。
最近では、インドネシアの富豪が銀座のホテルを買収するというニュースも話題となりました。富裕層の増加はインドネシア経済にとどまらず、日本への影響も拡大しています。
今回のコラムでは、インドネシアの富裕層の増加と訪日観光の高まりについてご紹介します。
億万長者の数が世界で20位
世界的な経済誌Forbes によると、2023年におけるインドネシアの億万長者の数は29人で、
億万長者が多い国のランキングで20位に入っています。
1位はアメリカで、アメリカには735人の億万長者が存在しています。日本は40人で15位に入っています。
また、ASEAN諸国の中ではシンガポールに次いで、インドネシアが2位となります。
インドネシアの億万長者のうち最もお金持ちなのは、石油採掘会社バヤン・リソーシズ社の取締役兼社長であるロー・タック・クォン氏です。
2番目にお金持ちなのは、世界第3位のタバコメーカージャルムを所有しているハルトノ兄弟となります。
インドネシアにおける富裕層の人数
スイスの大手銀行UBSによるグローバル・ウェルス・レポート2024によると、インドネシアの富裕層は、2023年に約178万人で総人口の0.06%であることがわかっています。
また、この人数は今後増加し続け、2028年には約235万人に増加すると予想されています。
今後インドネシアの富裕層が増加することを考慮すると、富裕層へ向けたビジネスは非常に有効であると言えます。
※富裕層:100万ドルの資産を持つ成人と定義
参考WEBサイト:https://www.ubs.com/us/en/wealth-management/insights/global-wealth-report.html
インドネシアの富豪が日本のホテルを買収
インドネシアのパームオイル業界の富豪であるバクティアル・カリムが設立した不動産開発会社、インヴィクタス・デベロップメンツ社が日本のホスピタリティ業界に参入し、東京・銀座にあるホテル「lyf銀座東京」を105億円で買収することを決定しました
「lyf銀座東京」は、140室を備え、銀座の一等地に位置する3つ星ホテルです。
インバウンド需要の高まりを見越して、今回の買収に至ったと考えられます。
さらに、今後数年間で日本国内の他のホテルの買収を増やしていく計画があるようです。
このことから、日本におけるインバウンド需要の高まりが世界的に注目されていることがわかります。
参考WEBサイト:https://forbesjapan.com/articles/detail/74204
インドネシア観光客の増加
先に述べた通り、日本へのインバウンド需要が高まっており、実際に日本を訪れる観光客の数は増加しています。インドネシアからの観光客もその一例です。
日本政府観光局によると、2024年の1月から7月までの期間に、インドネシアから日本を訪れた観光客は29万3,400人に達しており、前年同期比で約27.5%の増加が見られました。
インドネシアは、日本に観光で訪れる人数が多い国の中で12位にランクインしています。
また、2023年に日本を訪れたインドネシア人の総消費額は852億円に達し、日本経済にも大きな影響を与えていることがわかります。
インドネシア観光客にとって人気の都市は東京であり、特に桜の季節やイード・アル=フィトル(ラマダン明け)の休暇時に訪れる傾向があります。
インドネシア観光客が日本を旅行先に選ぶ理由
インドネシアの観光客が日本を旅行先に選ぶ理由はさまざまです。以下はその主な理由です。
- 日本では公共交通機関が発達しており、移動がしやすい
- 町が清潔である
- 日本人が親切である
- 日本の四季折々の自然が魅力的
- 世界遺産が多く存在する
- 春には桜を楽しむことができ、日本特有の花見文化が魅力的
- 日本の料理が魅力的
- アニメのイベントやグッズが豊富である
- 安全である
これらの理由の中でも、四季ごとに自然を楽しめる点や、日本料理、アニメ文化など、日本独自の体験を求めて訪れる観光客が多いようです。
また、ホテルやレストランをはじめとする町の清潔さも、日本ならではの魅力の一つではないでしょうか。
インドネシア観光客へのムスリムフレンドリー対応
インドネシア観光客を受け入れるうえで非常に重要なのが、イスラム教徒の人々が旅先で快適に過ごせる環境をつくる“ムスリムフレンドリー”の対応です。
人口の約90%がイスラム教徒のインドネシアにおいて、ムスリムフレンドリーであることにより、旅の不安が解消され訪問しやすい国として印象づきます。
ムスリムフレンドリーは、イスラム教徒が安心して過ごせる環境を提供する取り組みであり、具体的には、ホテルの食事メニューでハラルフードの提供、モスクの場所の提示、ホテルにおける祈祷室の設置などが挙げられます。
今後、インバウンド需要が増加すると予想される日本において、ムスリムフレンドリー対応を強化することは、訪日観光客の満足度向上と集客に繋がる重要な施策であると言えるでしょう。
今回のコラムでは、インドネシアの富裕層の増加と、それに伴うインバウンドの増加についてご紹介しました。
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