【コラム】インドネシアの林業と森林破壊

O-DAN https://pixabay.com/photos/wood-cutting-bale-pine-trees-3662510
インドネシアには、森林伐採権(HPH)を所有する企業が184社存在しています。
広大な森林を有する同国において、丸太の生産量や林業に従事する人々の規模はどの程度なのでしょうか。
今回のコラムでは、インドネシアの林業、従事者の実態、そして森林伐採の現状についてご紹介します。
インドネシアの丸太生産量の推移と生産量が多い地域
以下は、2020年から2023年にかけて、森林伐採権を所有する企業による、丸太生産量の推移です。

上図より、インドネシアの丸太生産量は2020年から2023年の4年間で変動していることがわかります。
この期間で最も生産量が多かったのは2021年の606万㎥でした。それ以降は減少傾向にあり、2023年には大幅な減少が見られます。
丸太を生産している企業は、ジャワ島とバリ島を除くインドネシア各地に分布しています。
2023年において、最も生産量が多かったのはカリマンタン島、ヌサトゥンガラ島、スラウェシ島で、これらの地域がインドネシア全体の丸太生産量の59.3%を占めています。
次いで、マルク諸島とパプア諸島が全体の20.97%を占め、それにスマトラ島が続きます。
インドネシアで生産されている丸太の種類

上図は、インドネシアで生産されている丸太の種類とその割合です。
最も多いのは、フタバガキ科の広葉樹であるメランチで、全体の78.01%を占めています。
メランチは複数の樹種を指し、椅子や家具などに使用されます。
次いで、マメ科の広葉樹であるアカシアが15.54%を占めています。そして、混合林やインダが続きます。
このように、インドネシアの丸太生産はメランチが大部分を占めていることがわかります。
参考WEBサイト:https://kotobank.jp/word/%E3%82%81%E3%82%89%E3%82%93%E3%81%A1-3233510#:~:text=%E3%83%95%E3%82%BF%E3%83%90%E3%82%AC%E3%82%AD%E7%A7%91%E3%81%AE%E5%BA%83%E8%91%89%E6%A8%B9%E3%80%82,%E3%81%AB%E4%BD%BF%E7%94%A8%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B%E3%80%82
https://to-shu.co.jp/medias/20201015o7/
インドネシアにおける林業従事者
正社員数の推移
以下は、インドネシアにおいて林業に従事している正社員数の推移です。

2020年には2万343人の正社員がいましたが、2023年には大幅に減少していることがわかります。
また、林業従事者(正社員)のうち、カリマンタン島、ヌサトゥンガラ島、スラウェシ島が全体の69.66%を占めており、これは丸太生産量の多い地域と一致しています。
正社員の職種
林業に従事する正社員の職種別割合は、事務職(管理職を含む)が21.52%、現場作業員などの作業職が78.48%となっています。圧倒的に作業職が多いことがわかります。
男女の割合
林業に従事する正社員の男女比は、男性88.6%、女性11.4%となっており、男性が圧倒的に多い業種であることがわかります。
学歴
林業に従事する正社員の学歴を見ると、高卒の割合が最も多く、全体の48.63%を占めています。次いで中卒が22.47%となっています。
林業は学校での勉強よりも、現場での実践的な技術習得が重視されるため、大卒や大学院卒の割合は少ないと言えます。
上記のデータは全てBPSのStatistics of Forest Concession Estates 2023より参照しております。グラフはデータを基に弊社作成(2025年3 月9日)
インドネシアにおける森林破壊問題
インドネシアでは、過去10年間で1,250万ヘクタールの森林が消失しました。これは韓国の国土面積を超える広さに相当します。
本来、森林伐採は森林伐採権(HPH)を持つ企業が政府の定めた計画に基づいて行うものですが、違法伐採や森林火災、土地火災が森林破壊を加速させています。
特に、パーム油産業や鉱業採掘のための大規模な伐採、都市化に伴う森林開発が主要な原因とされています。
経済発展が進むインドネシアでは、豊かな自然との共存が今後の重要な課題と言えるでしょう。
参考WEBサイト:https://fwi.or.id/persoalan-deforestasi-di-indonesia-sebuah-polemik/
今回のコラムでは、インドネシアにおける林業と森林破壊についてご紹介しました。
インドネシアの林業は、豊富な森林資源を背景に発展してきましたが、近年の生産量や従事者数の減少など、さまざまな変化が見られます。
森林の持続的・計画的な利用と環境保全のバランスを取ることが、今後のインドネシア政府にとって重要な課題となるでしょう。
弊社インドネシア総研は、インドネシアの様々な分野における市場調査、現地視察を行っております。
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