【アルビー日記】インドネシア・プラボウォ新大統領が各省の予算を削減~背景と目的

昨年10月にプラボウォ大統領が就任し、インドネシアの最新動向が気になる方は多いと思います。

先日プラボウォ大統領は各省庁の急速な予算削減を進めることを発表し、すでに2025年の国家予算(APBN)と地方予算(APBD)の執行における支出に関する大統領令に署名されました。

目次

予算削減の概要

予算の削減は各省庁及び機関の予算から256.1兆ルピア、地方政府においては50.6兆ルピアに及ぶ見込みです。

影響を受ける省庁については、代表的なものとして以下が挙げられています。

省庁2023年 予算(兆ルピア)2024年 予算(兆ルピア)2025年 提案予算(兆ルピア)2025年 承認予算 (兆ルピア)削減額 (兆ルピア)削減率
公共事業・国民住宅省146.98110.95116.2329.5781.3873.34%
運輸省38.6043.4780.6324.7655.8769.28%
教育・文化・研究・技術省99.0083.19108.1983.1925.0023.11%
農地・空間計画省/国家土地庁6.406.406.404.402.0031.25%

概要としては以下の通りです。

■公共事業・国民住宅省

約70%もの予算削減に直面しており、有料道路やダムなどのインフラプロジェクトが中止される見込みです。

■運輸省

式典や、必須でない活動にかかる支出の削減、また一部交通インフラプロジェクトが中止される可能性があります。

■教育・文化・研究技術省

奨学金や研究助成金などが削減される可能性があります。また、教師の福利厚生への滞在的な悪影響と授業料の値上げなどが問題提起されています。

■農地・空間計画省/国家土地庁

一部プロジェクトの実施の中止や遅れが生じる可能性があります。

その他、以下のような取り組みが発表されています。

■経済省

予算が52.5%削減され、エネルギー節約のためのオフィスの証明を消すなど、運営コストの削減などの対策が取られる予定です。

■投資省

予算が約40%削減され、投資促進活動に影響が出る見込みです。

■その他運営上の調整

公務旅行の支出の削減や、事務用品の支出を最大90%削減、エアコンの使用制限、リモートワークやバーチャル会議などの活用の推進などで運営コストを最小限に抑えていく見込みです。

予算削減の目的

主な目的は、プラボウォ大統領の目玉政策として掲げられている給食制度への予算の一部、そして新たに取り組みが発表された“Danantara”です。

“Danantara”(ダナンタラ)とは、Daya Anagata Nusantara(投資管理庁)の略で、プラボウォ大統領が25年2月に発足させたインドネシアの新たな政府系ファンドです。

国家の固有資産を統合・管理し、経済成長を促進、海外投資への依存を削減することを目的としています。

ダナンタラは、9000億ドル(約135兆円)を超える資産を管理すると見込まれており、対象となるのは銀行、エネルギー、通信、工業などの主要な国有企業の資産です。

この規模は、世界上位10位に入ります。

出典:https://www.cnbcindonesia.com/research/20250205022310-128-607995/prabowo-resmikan-bpi-danantara-langsung-masuk-10-besar-dunia

また、投資対象については、再生可能エネルギー、先端製造業、下流産業(原材料の加工・精製産業)、食品生産といった持続可能で高い経済効果をもたらすプロジェクトが優先的に支援される予定です。

初期資本としては、200億ドルの初期資本が投入される予定です。この資金は、政府予算の削減や国有企業の配当金などから調達される見込みです。

インドネシア政府は、これらの国家・地方予算削減により重要な社会プログラムがサポートされると主張していますが、批評家は公共サービスと経済成長に滞在的な混乱が生じることを懸念しています。

インフラと災害対応機関お予算が大幅に削減されてしまうと、公共サービスとインフラ開発に悪影響が及ぶ可能性があるためです。

プラボウォ大統領の予算削減に向けた動きは、優先的な社会プログラムにリソースを再分配するための戦略的な動きではありますが、一方でこれらの削減の規模が大きいため公共サービスと経済全体への滞在的な影響について議論が巻き起こっています。

ダナンタラは、プラボウォ政権の経済成長戦略の中核を担う重要プロジェクトであり、インドネシアの国有資産を活用して持続可能な成長を促進し、外国資本への依存を低減することを目的としています。しかし、成功には適切な管理と透明性の確保が不可欠であり、その運営が今後注目されることになるでしょう。

インドネシアに関するご相談についてはお気軽に弊社までお問合せください。

参考:https://www.tempo.co/ekonomi/4-kementerian-sudah-tetapkan-angka-pemotongan-anggaran-2025-1207862
https://www.detik.com/edu/detikpedia/d-7784385/prabowo-bentuk-danantara-10-negara-ini-punya-dana-investasi-terbesar-di-dunia

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