【コラム】インドネシアの政府系ファンドDanantara

2025年5月19日

2025年２月24日、インドネシアで政府系ファンド「ダナンタラ（Danantara）」が設立されました。

政府系ファンドとは、政府や政府機関が資金を出社して投資活動を行うための組織で、国の資産を蓄え、財政赤字の補てん、対外債務の支払いなどを目的で運用されます。

本コラムでは、インドネシアの政府系ファンド「ダナンタラ」の定義や目的、その役割についてご紹介します。

ダナンタラ（Danantara）とは

ダナンタラは、インドネシアのプラボウォ大統領により2025年2月24日に設立された政府系ファンドです。

シンガポールの政府系投資会社であるテマセク・ホールディングス（Temasek）をモデルとしており、インドネシアにおける投資庁的な役割を担います。

Danantaraという名称は、「Daya：力」「 Anagata：無限」「 Nusantara」インドネシアの国土」の略語で、インドネシアの「力」、「無限の可能性」、「国土」を象徴する名前です。

ダナンタラは、以下３つをミッションに掲げています。

このミッションを元に、以下の具体的な任務を担っています。

BUMN（Badan Usaha Milik Negara）は、インドネシア政府が所有・管理する国営企業の総称です。

ダナンタラは、このBUMNを管理する大規模な持株会社というポジションになり、総額1,470兆ルピアになるBUMNの資産を管理します。

管理管轄企業には、国営石油会社プルタミナや国営電力公社PLN、国営通信テルコム・インドネシア、国営鉱物資源会社マインド・アイディー、国営銀行3行（マンディリ銀行、BRI、BNI）を含むインドネシアの大規模国営企業が含まれています。

戦略的分野への投資を通じて国家の富の最大化を図ります。

各国営企業に分散していた経済力を集約し、競争力のある国家経済の構築を目指します。

既存の資産管理に加え、収益性と持続可能性のある新たな投資機会を模索します。

最適な資産・投資管理により、地方政府（州）への配当金増額が期待されています。

プララボウォ大統領は投資ファンド発足式典において、ダナンタラの目的を「国有企業の配当金を成長産業へ再投資し、各企業を世界で活躍する企業へと変革すること」と述べています。

主な目的は、国営企業の資産を一つの国家投資ファンドに統合し、運用効率を高めることです。

これにより、国家としての経済的利益の最大化を目指します。

今後、以下の分野への投資が計画されています。

プラボウォ大統領は、ダナンタラの設立に伴い、以下の規制を制定しました。

これらの制度的整備により、ダナンタラの運営基盤が構築されています。

今回のコラムでは、インドネシアの政府系ファンドダナンタラについてご紹介しました。

ダナンタラは、インドネシアの国家資産運用の司令塔として、経済の持続的成長と国際競争力の強化を支える中核的な存在です。

その動向は、今後のインドネシア市場における投資機会や産業発展に大きな影響を及ぼすことが予想されます。

官民一体となった資産運用戦略がどのように展開されるか、引き続き注目が必要です。

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