インドネシア経済調整省を訪問しました―国際金融センター(PFII)の制度と今後の運用ルールについて意見交換

インドネシア経済調整省を訪問し、フェリー・イラワン次官らと行われた意見交換後の記念撮影風景

弊社株式会社インドネシア総合研究所は先日、インドネシア経済調整省(Kemenko Perekonomian)を訪問し、フェリー・イラワン次官と面会しました。インドネシア政府が整備を進める「インドネシア国際金融センター(Pusat Finansial Internasional Indonesia:PFII)」について、同省から説明を受け、意見を交わしました。

インドネシア国際金融センター(PFII)の概要資料とモニター画面をもとに説明を受ける会議の様子
目次

PFIIとは

PFIIは、国内の経済に必要な資金を呼び込むための国際金融拠点をインドネシア国内につくる国家戦略プロジェクトです。モデルとして、2004年に設立されたドバイ国際金融センター(DIFC)と、2015年に設立されたインドのGIFTシティ(グジャラート州)が紹介されました。

構想自体は、2023年の「金融セクター開発・強化法(UU P2SK)」の頃からありました。2026年の改正法(UU No.4/2026)で第248A条が新設され、PFIIの設立が法的に位置付けられました。その後、PFIIに特化した法案が2026年7月21日に国会(DPR)本会議で可決されました。同省の資料によると、この法律は「UU No.6/2026(PFII法)」として公布され、2026年8月18日に施行されています(第73条)。当初は新首都ヌサンタラ(IKN)に置く案もありました。

PFIIの目的

同省の資料では、PFIIの主な目的として次の5点が挙げられていました。

  1. 国際金融センターとしてのインドネシアの競争力を高める
  2. 金融セクターを深化させ、イノベーションを促す
  3. 国内外の投資家と事業者を呼び込む
  4. 実体経済、国家戦略プロジェクト、インフラ、持続可能な事業への資金供給を後押しする
  5. 金融セクターのつながりを強める

特区の範囲と運営体制

PFII区域は、財政・行政上の独立性と法的な特例を持つ区域と定義されています(第1条)。区域は政令(PP)で指定され、複数指定することもできます。また、既存の経済特区(KEK)とは重ならないように設けられます(第3条)。

運営は次の5つの機関が担います。

  • PFII評議会(Dewan PFII):区域全体の方針を決める最高意思決定機関
  • PFII運営機関(LP PFII):区域の管理・運営とインフラ整備
  • PFII金融サービス監督機関(LPJK PFII):区域内の金融活動の規制・監督
  • PFII裁判所:区域内の紛争を扱う特別裁判所
  • PFII仲裁機関:商取引の紛争を裁判外で解決する

認められる事業(3分野)

PFIIでは、次の3分野の事業が認められています。

  1. 金融業(18業種):銀行、保険、イスラム金融、資本市場・デリバティブ・炭素取引所、年金基金、ファイナンス(金融会社)、ベンチャーキャピタル、フィンテック、保証、国際商品取引・商品取引所、ブリオン(金地金)、信託管理、金融商品の運用管理、金融持株会社、短期金融市場・外国為替市場とその派生取引、ファミリーオフィス、投資運用、その他の金融業
  2. 金融を支えるサービス業(10業種):公認会計士、鑑定人、公証人、法律コンサルタント、金融コンサルタント、投資マネージャー、税務コンサルタント、アクチュアリー、イスラム金融専門家、その他の支援業務
  3. その他の事業(7業種):運輸、宿泊、医療、廃棄物処理、観光、飲食、その他PFII評議会が定める事業

金融業だけでなく、専門サービス業や生活関連の事業まで含まれており、金融拠点をまるごとひとつの街として整備しようとしていることがうかがえます。

特区としての主な特徴

  • ルピア以外の通貨での取引:インドネシア国内では原則ルピアでしか取引できませんが、PFII内では外貨建ての取引や金融商品を認める方向です。

インドネシア国内の取引の規制についてはこちらも併せてご覧ください。

  • 紛争解決:専用の裁判所と仲裁機関を設けます。外国人裁判官の登用など、国際的な紛争解決の仕組みも検討されています。
  • 税制優遇とグローバル・ミニマム課税:税制優遇が予定されています。ただし、法人税の最低税率を15%とするグローバル・ミニマム課税(GMT)との整合をどう取るかが論点になります。

進出検討時の留意点

金融特区で特に気を付けたいのは、法律や規制がこれから変わる可能性があることです。最低資本金、許認可の要件、外貨の扱いといった細かな運用ルールは、これから決まる施行規則で定められます。面会でも、最低資本金についてはまだ明確な説明がありませんでした。進出を考える企業は、根拠となる条文(Pasal)を一つずつ確かめながら、施行規則の動きを追い続ける必要があります。

当社の取り組み

当社は、PFIIを日本企業にとってインドネシア、さらには東南アジア全体への投資拠点となり得る仕組みとして注目しています。法令の原文の収集・分析、施行規則の最新動向の調査、現地での会社設立支援など、PFII進出に向けたアドバイザリーサービスを提供しています。施行規則への意見提出に関心のある企業の皆さまも、お気軽にご相談ください。

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