【コラム】インドネシアのハロウィン事情2024

毎年10月31日にかけて世界各地で祝われるハロウィンは日本と同様、インドネシアにおいては本来の祝日ではありません。しかし近年、日本と同様に、都市部を中心にハロウィンに関連したイベントが若者の間で浸透し始めています。

目次

ハロウィンに対する保守的な反応

イスラム教徒が多数を占めるインドネシアでは、長らく、ハロウィンの異教的な背景や霊的な要素が宗教的に問題視されてきました。また、西洋の祝祭を祝うことが、インドネシア独自の伝統や文化を薄めてしまうという懸念も根強く存在していました。さらに、ハロウィンはインドネシアの歴史や文化に何の関わりもないため、多くの人々にとっては無意味なものと見なされており、実際のハロウィンの習慣や目的についての理解が乏しかったため、人々の誤解や偏見、抵抗感を招いていたのです。

ハロウィンに対する態度の変化

https://unsplash.com/ja/%E5%86%99%E7%9C%9F/%E6%96%87%E7%AB%A0-oPVNGh0hzdI

一方で、インドネシアにおけるハロウィンに対する態度は、時代とともに徐々に変わりつつあります。観光業が盛んなバリなどでは、ハロウィンが欧米圏の観光客を引き寄せる手段として用いられ、段々と地元の人々の間でも次第に浸透していきました。特に若者の間では、ソーシャルメディアの普及により、ハロウィンの仮装が自己表現や社交の場として認識され、都市部では流行の一つとなっています。また、小売業やホスピタリティ業界が商業的にハロウィンを取り入れ、関連するマーケティングキャンペーンや商品を展開することで、インドネシアでもハロウィンは徐々に地元の文化に合わせて適応され、秋の楽しみとして受け入れられるようになってきたのです。

インドネシアで開催予定のハロウィンイベント(2024年)

もちろんインドネシアのすべての人がハロウィーンに参加するわけではありませんが、年々インドネシアでハロウィンの人気が高まる中、ジャカルタやバリなどの都市部を中心に、学校、ショッピングモール、娯楽施設などでは様々なイベントが予定されています。コロナ騒動も落ち着き観光が一段と賑わいを見せている2024年、インドネシア各地ではどのようなハロウィンイベントが開催される予定なのか、以下で詳しく見ていきましょう。

音楽フェスティバル

ジャカルタ:『Scream or Dance 2024(スクリーム・オア・ダンス)』

公式サイト:https://www.screamordance.com/より

スクリーム・オア・ダンスはインドネシア最大のハロウィン音楽フェスティバルです。観客は今年のコンセプトである『The Undiscovered Universe(未発見の宇宙)』をテーマにした仮装で来場することが条件となっています。今年はYouTubeで482万人の登録者を抱えるイギリス出身の人気DJ である『Jonas Blu』や、同じく200万人のオランダ出身DJ『Yellow Claw』などを筆頭に、国内外の有名ミュージシャンをゲストに迎えることが発表されています。ハロウィンイベントでありながら、EDMを楽しむ人々で盛り上がる一大イベントとして注目を集めています。

日時:11月1日(金)、11月2日(土)
場所:AGI Jakarta International E-Prix Circuit

公式サイト:https://www.screamordance.com/
公式インスタグラム:https://www.instagram.com/screamordance/?hl=en

教育機関のハロウィンイベント

ジャカルタ:『Spooky Classrooms: Immersive Halloween Thrills(不気味な教室:没入型ハロウィンのスリル)』by Jakarta Multicultural School

学校公式サイト:https://jms.sch.id/spooky-classrooms-immersive-halloween-thrills/より


ジャカルタにあるインターナショナルスクールであるJakarta Multicultural Schoolでは、昨年度のハロウィンイベントの様子を公開しています。教師や保護者を筆頭に、インターナショナルスクールとしてハロウィンを率先して取り入れ、子どもたちに西洋文化へ触れる機会を提供しています。仮装大会やお化け屋敷の他に、読み聞かせの時間やトリック・オア・トリート、映画鑑賞、恵まれない子供たちに絵本やおもちゃ、文房具を寄付するチャリティ活動など、さまざまな活動の様子が報告されています。インドネシアの保守的な国立・公立の学校ではこうしたイベントはまだまだ少ないですが、一部の国際化を推す教育機関では、ハロウィンを通じた異文化体験が増えつつあるようです。

ホテルのハロウィンイベント

バリ:『FREAKS & BEATS』by Bisma Eight Hotel

イベントサイト:https://www.nomasubud.com/shindigs/nomas-halloween-party-2024より

バリのウブドにあるラグジュアリーホテル『Bisma Eight Hotel』では、同グループが運営するカジュアルバー『No Más』にて、ハロウィンへイベントを開催予定です。一階に構える『Liap Liap(リアップ・リアップ)』レストランも、同一グループの系列です。今年のハロウィンイベントでは、限定のハロウィーン・カクテルに酔いながら、ダンスフロアでDJがかける音楽にのり、ハロウィンのおどろおどろしい雰囲気とバーの開放的な雰囲気を同時に楽しむことができます。バリは欧米圏の観光客も非常に多いことから、こうした西洋文化を取り入れることは人気観光地として客引きに非常に有効的な施策となっています。

日時:10月31日(木)午後5時―11月1日(金)午前2時
場所:No Más

ホテル公式サイト:https://bisma-eight.com/
イベントサイト:https://www.nomasubud.com/shindigs/nomas-halloween-party-2024

このように、インドネシアでも、ハロウィンイベントは年々広く受け入れられるようになっており、西洋の習慣とインドネシアの多様な文化が融合したユニークな体験となっています。この時期にインドネシアに渡航される方は、ぜひ滞在先のハロウィンイベントをチェックしてみてはいかがでしょうか。一方で、あくまでもハロウィンは欧米圏の文化にすぎず、インドネシアはイスラム教徒の多い国であることを忘れないようにしましょう。日本でも繁華街におけるハロウィンイベントの品のない行為が問題視されていますが、インドネシアでハロウィンを楽しむ際も、露出を控え、節度のある楽しみ方を心がけましょう。

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