【コラム】インドネシアの洪水の発生状況と被害

インドネシアは、地震や洪水、森林火災など自然災害が多い国です。

その中でも特に洪水の発生件数が多く、2024年の自然災害の中で最も多く発生しています。本コラムでは、インドネシアにおける洪水の発生状況についてご紹介します。

目次

洪水が最も多い災害

国家災害管理局(BNPB)によると、インドネシアで2024年に発生した自然災害5593件のうち、洪水、地滑り、異常気象が大半を占めていることがわかっています。

5593件の自然災害のうち、2284件が洪水、993件が地滑り、1432件が異常気象で、残りは地震と火山噴火です。

また、2024年にインドネシアで洪水の影響を受けた人数は570万人、土砂崩れの影響を受けたのは7万1,000人に上り、インドネシアにおける洪水の被害は非常に大きいと言えます。

参考WEBサイト:https://www.antaranews.com/berita/4569674/banjir-dan-longsor-dominasi-5593-kejadian-bencana-sepanjang-2024#:~:text=Banjir%20dan%20longsor%20dominasi%205.593%20kejadian%20bencana%20sepanjang%202024,-7%20Januari%202025

洪水発生件数が多い地域と原因

以下は2024年11月7日時点で、2024年において洪水発生数が多かったインドネシアの州と主な原因です。

1位:北スマトラ州(211件)

インドネシアで洪水発生数が最も多かったのは、北スマトラ州です。

北スマトラ州の洪水の主な原因は、大雨と河川の堆積物による水の流れの悪化です。

排水管理が課題として挙げられています。

2位:西ジャワ州(145件)

西ジャワ州は、都市化に伴う大規模な土地転用を伴う工事により、排水が不十分になってしまい、そのことが洪水につながっています。

3位:中部ジャワ州(91件)

中部ジャワ州は、大雨によりブンガワンソロなどの大規模河川の氾濫が原因で洪水が発生しています。

また、河川の上流の森林伐採も洪水のリスクを高めています。

4位:リアウ州(89件)

リアウ州は、森林のプランテーションへの転換により水捌けの悪い泥炭地になったことで、土壌が水を吸わなくなり、洪水発生の原因となっています。また、泥炭地は地滑りも引き起こしています。

5位:アチェ州(68件)

アチェ州は、森林の管理が行き届いておらず、そのことが地滑り、洪水につながっています。

また、山地よりも標高が低い丘陵地形なことも洪水になりやすい原因です。

その他に洪水が多かった地域は、西カリマンタン州(65件)、西ヌサトゥンガラ州(59件)が挙げられます。

洪水の主な原因は地域によって異なりますが、全体として降雨量の多さ、プラスチックごみの投棄、違法伐採、住宅の密集が挙げられます。これらの多くは人為的要因も関係しており、防ぐ余地があると言えるでしょう。

参考WEBサイト:https://www.liputan6.com/hot/read/5874924/provinsi-di-indonesia-yang-paling-sering-banjir-sepanjang-2024-penyebabnya-curah-hujan-tinggi-hingga-persoalan-urbanisasi?
https://bpbd.bogorkab.go.id/berita/Seputar-OPD/6-penyebab-terjadinya-banjir-bandang-perlu-diwaspadai

2024年の洪水被害事例

以下は、2024年に起こったインドネシアの洪水被害事例です。

西スマトラ州 ペセシル・サラタン県
発生日:2024年3月9日

洪水と土砂崩れにより10名が死亡し、4万6,000人が避難を余儀なくされました。

多くの住宅が浸水の被害に遭いました。

洪水発生後3日経っても綺麗な水へのアクセスが難しく、衛生面でも不安が広がりました。

参考WEBサイト:https://bnpb.go.id/berita/update-sepuluh-warga-ditemukan-meninggal-dunia-dampak-banjir-dan-longsor-di-kabupaten-pesisir-selatan

南スマトラ州 北ムシ・ラワス県
発生日:2024年4月16日

大雨により洪水が発生し、4名が死亡、5万人以上が避難を余儀なくされました。

氾濫した川からの水が住宅地に流れ込み、150cm〜250cm程浸水しました。

多くの住宅が浸水の被害に遭い、浸水により454棟の家屋が全壊しました。

また、10の端、38の礼拝堂、34の教育施設、20の医療施設が浸水の被害に遭いました。

参考WEBサイト:https://bnpb.go.id/berita/update-banjir-tiga-kecamatan-di-musi-rawas-utara-surut

西ジャワ州 チアンルージュ県
発生日:2024年12月3 日

大雨により洪水と地滑りが発生し、付近の39地区にまで土砂崩れが広がりました。

洪水と土砂崩れにより2名が死亡し、3,000人以上が避難を余儀なくされました。

298棟の家屋が被害を受け、81箇所の道路が土砂崩れによって埋もれました。

参考WEBサイト:https://bnpb.go.id/berita/update-banjir-dan-tanah-longsor-di-kabupaten-cianjur-tiga-orang-meninggal-dunia
https://bnpb.go.id/berita/update-banjir-dan-longsor-sukabumi-sepuluh-warga-meninggal-dunia-dua-masih-dalam-pencarian

これらの事例から、洪水が多くの人的被害と社会的損失をもたらしていることがわかります。

インドネシア政府も洪水対策に力を入れており、2025年のジャカルタ首都特別州の州予算案では、洪水対策に5兆6,000億ルピアが計上されました。このような取り組みを通じて、被害を最小限に抑える努力が続けられています。

今回のコラムでは、インドネシアにおける洪水発生状況についてご紹介しました。

インドネシアでは2025年も洪水被害が多いことが予想されます。自然災害そのものを防ぐことは難しいですが、森林伐採やプラスチックごみの投棄といった人為的な原因を取り除くことで、被害を軽減することに繋がるでしょう。

弊社インドネシア総研は、インドネシアの様々な分野における市場調査、現地視察を行っております。

インドネシアにおけるビジネスにご興味ございましたら、お気軽にお問い合わせください。

関連コラム

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

記事のシェアはこちらから
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次