【コラム】インドネシア首都移転先の東カリマンタン州PPUとクカルについて

インドネシアの大統領、Joko Widodo氏は、2019年8月26日にインドネシアの首都をジャカルタからカリマンタン島の東カリマンタン州、プナジャム・パセル・ウタラ(Penajam Paser Utara県、以下、PPUと省略)とクタイ・カルタヌガラ(Kutai Kartanegara県以下、クカルと省略)に移転する予定を発表しました。

現在ジャカルタは人口密度が高く、交通渋滞がひどいことは世界的にも有名ですが、インドネシア運輸省によると、2019年時点でジャカルタはアジアで最も交通渋滞がひどい都市ワースト10の一つに入り、交通渋滞による経済損失は65兆ルピア(日本円で約4632億円、8月19日のレートで計算)にのぼるそうです。

参考WEBサイト:Republika.online
https://republika.co.id/berita/qel17u382/menhub-kerugian-akibat-macet-jakarta-rp-65-triliun

さらに、交通渋滞の悪化や人口密集による環境破壊なども深刻化しており、首都を新たな地域に移転させ、政府拠点のみならず、ビジネスの活動も新しい首都で一部行われることが期待されているそうです。

PPUとクカルが新たな首都として選ばれた理由としては以下の5つが挙げられています。

 

1. 自然災害が起こる可能性が他に地域に比べて低いと予測されていること

2. インドネシアの真ん中あたりにあり地理的に有利であること

3. サマリンダやバリクパパンというカリマンタン島の2つの大都市に近いこと

4. インフラや設備がある程度整っていること

5. 2地域に約180ヘクタールの政府の土地があること

 

首都移転自体は、現在新型コロナウイルスの影響で一部停止されていますが、2020年から2024年にかけて徐々に移転を開始する予定となっています。

では、新たな首都となるPPUとクカルとは一体どのような地域なのでしょうか?

 

プナジャム・パセル・ウタラ県(PPU)

インドネシア中央統計局(BPS)によれば、PPUは面積が3,333もあり、インドネシア第2の都市スラバヤの面積の約10倍にあたります。

また、平らな地形であるため、地震や火山の噴火の可能性が極めて低いことが、PPUが新しい首都として選ばれた理由の一つでもあります。

PPUはバブル(Babulu)、ワル(Waru)、プナジャム(Penajam)、スパク(Sepaku)という4つの郡・区に分けられます。

PPUの広さの割合から見ると、プナジャムが最も広く1,207.37 、それに続いて、スパク1,172.36 、ワル
553.88 、バブル399.45という順番になります。

以下は、PPUの地域別人口です。

出典:インドネシア中央統計局(BPS)、Kabupaten Penajam Paser Utara Dalam Angka 2020より弊社作成(閲覧日:2020年8月18日)https://ppukab.bps.go.id/publication/2020/04/27/9f39f71095d2d70c9102223e/kabupaten-penajam-paser-utara-dalam-angka-2020.html

 

2019年時点でのPPUの人口は約160,000人で、そのうち15歳以上で働いている男性は全体の40.15%、女性は20.26%、無職の人は4.04%です。

なお、働いている産業とその割合は以下の通りです。

出典:インドネシア中央統計局(BPS)、Kabupaten Penajam Paser Utara Dalam Angka 2020より弊社作成(閲覧日:2020年8月18日)
https://ppukab.bps.go.id/publication/2020/04/27/9f39f71095d2d70c9102223e/kabupaten-penajam-paser-utara-dalam-angka-2020.html

 

天然資源が豊かなPPUでは、農業が最も発展しています。特にバルブ地域には非常に広い農地があり、その中でまだまだ開拓されていないエリアもあるため、投資者にとってはとても大きなビジネスチャンスと言われています。

PUUの基本的な農産品は、アブラヤシ(パーム油)、ゴム、ココナッツ、コーヒー、コショウ、ココアなどですが、その中でも特にアブラヤシが他の農産品よりも圧倒的に多く生産されています。

2018年PPUの生産品、表面積、生産量、農家数

農産品 表面積
(ヘクタール)
生産量
(トン)
農家数
(人)
アブラヤシ 49,822 430,810 12,876
ゴム 10,304 1,743 3,364
ココヤシ 4,745 1,843 1,527
コショウ 1,325 1,300 1,738
コーヒー 16 6 17
カカオ 13 3 11
合計 66,225 435,705 19,533

出典:東カリマンタン農業局(Dinas Perkebunan Provinsi Kalimantan Timur)WEBサイトより弊社作成(閲覧日2020年8月18日)https://disbun.kaltimprov.go.id/halaman/potensi-daerah-kabupaten-penajam-paser-utara#

クタイ・カルタヌガラ州(クカル)

インドネシア中央統計局(BPS)によれば、クカルの面積は27, 263.10 あり、18の郡や区に分かれています。地域別の人口は以下の通りです。

出典:インドネシア中央統計局(BPS)、Kabupaten Kutai Kartanegara Dalam Angka 2020 より弊社作成(閲覧日:2020年8月12日)
https://kukarkab.bps.go.id/publication/2020/02/28/955011bc450dde4017e89415/kabupaten-kutai-kartanegara-dalam-angka-2020–penyediaan-data-untuk-perencanaan-pembangunan.html

2019年時点での15歳以上の労働人口は、男性が239,497人、女性が115,820人、無職の人は22,607人となっています。なお、働いている業界と労働者数は以下の通りです。

 

2019年クカルで働いている15歳以上の労働者数(業界別)

番号 主な業界 労働者数(人)
1 農業、林業、狩猟、漁業 104,500
2 卸売業、レストラン、ホテル 81,123
3 鉱業、採石 59,008
4 コミュニティ/パーソナルサービス 30,126
5 製造業 28,233
6 建設業 19,082
7 金融、保険、不動産、ビジネスサービス 9,742
8 輸送、倉庫業、通信 7,711
9 電気、ガス、水道 5,153
合計 334,678

出典:インドネシア中央統計局(BPS)、Kabupaten Kutai Kartanegara Dalam Angka 2020より弊社作成(閲覧日:2020年8月18日)
https://kukarkab.bps.go.id/publication/2020/02/28/955011bc450dde4017e89415/kabupaten-kutai-kartanegara-dalam-angka-2020–penyediaan-data-untuk-perencanaan-pembangunan.html

PPUと同様にクカルも農業・林業・漁業に従事する人が最も多く、それはクカルが全ての地域に川があること、山が多くあることなどの自然環境の特徴に強く関係しています。

クカルでは上記がビジネスチャンスが大きい産業として注目されています。

 

2018年クカルの生産品、表面積、生産量、農家数

農産品 表面積
(ヘクタール)
生産量
(トン)
農家数
(人)
ゴム 3,415 1,327 1,880
サトウヤシ 1,677 661 1,329
ココヤシ 1,405 281  583
アブラヤシ 143 32 173
コーヒー 125  27 241
カカオ 507 15 350
コショウ 13 3 11
ククイ 5 1 6
パチョリ 7 1 11
合計 255,276 2,997,262 47,924

出典:東カリマンタン農業局(Dinas Perkebunan Provinsi Kalimantan Timur)WEBサイトより弊社作成(閲覧日:2020年8月18日)https://disbun.kaltimprov.go.id/halaman/potensi-daerah-kutai-kartanegara

パーム油は主に料理など日常でも広く利用されていますが、最近では石油に代わって乗り物の燃料としても活用できるのではないかという研究も行われています。

クカルではアブラヤシの栽培の可能性が高いと言われていますが、未だに投資率がまだ低いです。

また、コショウはクカルで昔から栽培されてきましたが、伝統的な方法を使っているためその成果が得られませんでした。

広範囲で集中的にその方法を改善すれば、いい結果の見込が得られるので、投資する価値はあるとされています。

そして、ゴムは多く輸出され、クカルにとって大事な農産物ではありますが、コショウと同様に伝統的な方法で栽培されてきましたので、今後の発展のためには多様な努力が必要とされます。

PPUと少し異なり、クカルは農業の他にも鉱業が盛んに行われていますが、石炭、石油、天然ガス、鉱物が多く見つけられます。

このように天然資源が豊富であるため、クカルはインドネシアの一つの比較的“裕福”な州のひとつとも言われています。

現在、クカルの鉱業を占有する企業はTotal E&P Indonesia、VICO Indonesia、Chevronという3社です。

 

PPUとクカルの今後について

今後首都ジャカルタから東カリマンタンに移転されれば、東カリマンタンにあるPPUとクカルの人口は増加していくでしょう。

首都移転のことが発表されてからも、PPUとクカルには多くの人が視察に訪れています。

現在インドネシアは新型コロナウイルス感染拡大がまだまだ落ち着いている状況ではありませんが、PPUとクカルを訪問する人の数は増加傾向にあり、今年7月にPPUとクカルを訪れた人の数は約500人もおり、8月にかけても徐々に増加しているようです。

2022年には、PPUの人口は20万人を超えていると推測されています。

人口の増加によって、将来人々の生活を維持する様々な側面が重要となり、将来は食料、衣類、住宅、輸送、労働者に対するニーズがどんどん高まっていくでしょう。

従って、すでにPPUやクカルで栄えている事業のみでなく、人々の生活に必要な商品やサービスなども今後需要が拡大すると予測されています。

 

いかがでしょうか。

弊社では、ジャカルタのみでなく、インドネシアの全国各地での視察サポート、調査、専門家インタビューなどご対応が可能です。

現在はオンラインでの調査代行などを承っておりますので、ご興味がある方はお気軽にご連絡ください。

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