【アルビー日記】インドネシアのデモが日常に与えた影響 ― オフィス・モール・学校のリアル

2025年8月25日以降、ジャカルタをはじめとするインドネシアの各都市は大きな変化に直面しました。国会議事堂(DPR)前で始まったデモは、最初は「よくある政治的抗議活動」と受け止められていました。しかし、その影響は瞬く間に広がり、オフィスで働く人々の通勤、ショッピングモールの営業、さらには子どもたちの学校生活にまで及んでいったのです。

インドネシアに暮らす人々にとって、政治的決定の影響は日常から遠いものではありません。道路閉鎖による渋滞、モールの閉館による経済活動の停滞、オンライン授業への急な切り替えなど、まるで都市全体が一時停止したかのような状況をインドネシアの人々は急遽受け止めざるを得ませんでした。

本記事では、先日のジャカルタのデモが日常生活に与えた影響をご紹介し、そこから見えてくるインドネシア社会の強さと柔軟さについて考察します。

目次

新たなデモの始まり

デモが起きた最初のころは、ここまで大規模なデモに発展するとは人々は誰も想像しておりませんでしたので、各オフィスは通常営業を続けていましたが、多くの従業員が市中心部の道路封鎖による通勤時間の増加に不満を漏らしていました。

ジャカルタのモールも当初は通常通り営業を続けていましたが。徐々に対策をはじめ、いくつかのショッピングセンターでは警備が強化され、8月30日以降、セネン・アトリウム・モールは入口を閉鎖し、鉄条網を設置して混乱に備える措置を取りました。

モールのフェンスにワイヤーが取り付けられている
モールのフェンスにワイヤーが取り付けられている

すぐに学校にも影響が出始めました。地方議会(DPRD)や繁華街付近の学校では、自宅学習に切り替えるとの報道が出たのです。例えば東ジャワ州ンガウィでは、デモが波及するリスクを避けるため、数校が在宅学習に切り替えることが報道されました。

DPRDデモのリスクを予測しンガウィの4つの学校で在宅学習を実施することを報じるニュース(Radarmandiun News)
Antisipasi Risiko Demo DPRD, 4 Sekolah Ngawi Terapkan Belajar dari Rumah – Radar Madiun

混乱が激化する中で

8月末に近づくにつれてデモの緊張は高まりました。8月30日(金)、セネン・アトリウム・モールは正式に閉鎖され、入口には高い鉄条網フェンスが設置されました。SNSで拡散された写真を見て、多くの人々が市中心部での買い物を避けるようになりました。

さらに、BNIペジョンポンガン・タワーで略奪があったとの噂も流れました。しかしLiputan6の報道によると、実際には略奪はなく、従業員は混乱を避けるために早退させられただけだったことが確認されました。とはいえ、このような噂だけで市民の不安は大きく広がりました。

その後、各学校は正式に授業形態をオンラインに変更しました。2025年9月1日から、ジャカルタを含むいくつかの地域では、抗議活動の激化と生徒の安全確保のため、オンライン授業が導入されました。

弊社ジャカルタオフィス近くのBNIペジョンポンガン・タワーに被害がなかったことを報じるニュース
Kondisi Kegiatan Sekolah Pasca Demo: Belajar Online dan Offline – Gaya Hidup

現在のインドネシアの状況

9月初旬には、状況は徐々に落ち着きを取り戻しました。国会(DPR)は、国民の怒りを招いていた「5,000万ルピアの住宅手当」を廃止すると発表しました。議事堂周辺の道路は徐々に再開し、閉鎖されていたモールも営業を再開。人々に安心して買い物に戻るよう呼びかけました。

学校は状況を注視し、一部はオンライン授業を継続していましたが、今ではほぼ対面での通常授業に戻っています。オフィスも警戒を強め、多くの企業が緊急時の退避マニュアルを準備しました。特に政府が「17+8の要求」が未解決だと認めたこと、さらに労働党から新たに10項目の要求が出されたことも背景にあります。

労働党の新たな10の要求

  1. 犯罪化された被害者を解放せよ!
  2. 警察改革と軍の中立性を!
  3. 軍事予算を国民に再配分せよ!
  4. 高官に課税せよ!
  5. アウトソーシング廃止、低賃金を撤廃せよ!
  6. 政策決定に労働組合を参加させよ!
  7. 労働者に公正な課税を!
  8. フリーランスやバイクタクシー運転手に全面的保護を!
  9. 家事労働者保護法案を成立させよ!
  10. 都市と農村における農地改革を!

もっとも、政府は「これらの要求は深刻な懸念にはあたらない」と強調し、インドネシアは依然として投資に安全な国であると述べています。複数の政府関係者は「デモは民主主義の一部であり、長期的な安定を脅かすものではない」とメディアに語り、大規模な抗議活動が再燃する兆候は見られないとしています。

デモは発生したが、アイルランガ経済担当調整大臣は投資家やインドネシア証券取引所に上場している企業に対し、投資と企業活動の実現については特に大きな問題はないため悲観的にならないよう発言したことを報じるニュース

まとめ

2025年8月25日以降のジャカルタのデモは、政治的な決定が日常生活に直結することを鮮明に示しました。道路閉鎖による通勤の混乱、モール閉鎖による消費活動の停滞、学校のオンライン化による家庭生活の変化――これらすべては、人々の日常を大きく揺さぶりました。

それでも人々はすぐに適応し、社会は再び動き始めています。これこそがインドネシアの「レジリエンス(回復力)」であり、困難に直面しても前進し続ける社会の姿だといえます。

先日のデモは、現在では落ち着いて、人々は日常を取り戻していますが、今後も突発的なデモが発生、過激化する可能性はありますので、デモに遭遇した場合には速やかにご自身の安全を確保するよう十分ご注意ください。

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