【コラム】インドネシア人の若者の働き方

時代ともに、人々の働き方は変化します。現在生産年齢人口の過半数を占めるミレニアル世代後半とZ世代の若者の間では、どのような働き方が最も好まれているのでしょうか。デロイト社が発表した「The Deloitte Global 2022 Gen Z and Millennial Survey」では、ミレニアル世代後半とZ世代の若者に好まれる仕事環境や、彼らが抱える悩み等についてのデータが詳細に報告されています。

同調査は、2021年11月と2022年1月に実施され、調査対象の46カ国中14,808人のZ世代と8,412人のミレニアル世代後半の若者の回答者を対象として実施しました。

今回のコラムでは、同調査の結果から、現代のインドネシアの若者の働き方にも通ずるミレニアル世代とZ世代の若者の働き方の特徴についてご紹介いたします。

今や日本でも転職に対する考え方は一般化してきており、「終身雇用」のもと、一つの企業に生涯務めるという働き方はメジャーな働き方ではなくなってきています。調査によると、「2年以内に今の職場を離れることを希望する」と回答した人の割合は、ミレニアル世代では24%、Z世代では40%でした。

また、ミレニアル世代の32%、Z世代の35%が、「次の職場が定まっていない場合でも離職を希望する」と回答しました。Z世代やミレニアル世代の若者は、仕事環境が自分の希望とそぐわないと感じた場合、そのことが自身の時間を無駄にすると考え、より良い環境を求め躊躇なく辞職する傾向が強くなっていることが分かっています。

また、自身の価値観に合わないと判断した仕事のオファーを断る人の割合は、リーダー役職を持つミレニアル世代とZ世代の若者両方で46%にも上ります。それでは、Z世代やミレニアル世代の若者が好む職場の条件はどのようなものなのでしょうか。

Z世代とミレニアル世代其々が現在の職場を選んだ際に重視した点

ミレニアル世代とZ世代の若者が現在の職場を選んだ際に重視した点に着目すると、「ワークライフバランス」や「(仕事上の)学習機会」が上位に来ています。特に重視されているのがリモートワークの有無です。76%のミレニアル世代、75%のZ世代の若者がリモートワーク若しくはハイブリッド型の仕事方式を好むと回答しました。

調査では、リモートワークに指示が集まる理由として、外でかかる個人的な出費が抑えられる分貯蓄がしやすいこと、他の事に使える時間が増えること、家族と過ごす時間が増えること、仕事の効率性が高まること、ストレスのある職場の人との接点が少ない等から精神的負担が少ないことが挙げられました。デジタルネイティブ世代とも言われるだけあり、リモートワークにより同僚との人間的関係構築が難しくなったと回答したミレニアル世代とZ世代の若者は僅か14%でした。

対面のコミュニケーションや職場での人間関係、長い通勤が精神的ストレスをもたらすという意見も多く、ワークライフバランスを最も重視する若者の間では、今やリモートワークの可否は職探しにおける極めて重要な条件となっています。

ワークライフバランスの中でも、精神的ストレスは、ミレニアル世代やZ世代の若者が直面している問題の1つです。低賃金や疲労と並び、精神的ストレスは三大離職理由の一つとなっています。調査では、38%のミレニアル世代、46%のZ世代の若者が常に何らかのストレスを感じていることが報告されています。

特にZ世代の女性のストレス度合いが最も高く、その割合は53%です。主な要因として、経済的安定性への不安や、仕事や上司によるプレッシャーや精神的負担の大きさがあります。約55%の若者が、「職場の精神的負担に対する懸念が仕事への集中力に悪影響を及ぼしている」と回答したことからも、状況の深刻さが伺えます。

近年「メンタルヘルス」という言葉が一般化し、職場や学校においてカウンセリングや面談の導入などの対策が講じられてきたことは事実ですが、現状ではそうした試みは必ずしも結果に結び付いてはいないようです。実際に、ミレニアル世代の51%、Z世代の53%の若者が、「企業が社員の精神状態について話す機会を設けたことは事実だが、それは社員のメンタルヘルスにとって有意義なものにはなっていない」と回答しました。

精神的負担から離職の決断へと至るケースは依然として多く、職場での精神的ストレスや、精神状態について相談しにくい職場環境は、早急に改善すべき課題であると考えられます。

上段でご紹介したミレニアル世代とZ世代の若者が抱える悩みや彼らの好む仕事環境は、彼らの能力を否定するものでは決してありません。「最近の若者はか弱い」などという意見を口にする年長者も巷では多く見られますが、ミレニアル世代とZ世代の若者は、平等な活躍の機会が与えられる環境において、その潜在能力を高く発揮しています。調査では、部下の声に耳を傾ける上司の有無や、自分の意見を述べる機会の有無が、ミレニアル世代とZ世代の若者の勤続年数に大きな影響を与えることが明らかになりました。

「裁量権が平等に与えられていると感じる」と回答した若者が5年以上勤続する割合は、ミレニアル世代で66%、Z世代で65%です。また、彼らが1年以内に離職する割合は、ミレニアル世代で38%、Z世代で33%です。

一方、「意見が尊重されないと感じる」と回答した若者が5年以上勤続する割合は、ミレニアル世代で僅か24%、Z世代で25%です。同様に、1年以内に離職する割合も、ミレニアル世代で47%、Z世代で54%です。

ヒエラルキーや年功序列色の濃い職場は若い世代から強く敬遠される傾向にあり、オープンで包括的な職場、即ち若者の意見が一意見として尊重され、変化を生み出す事のできる職場環境ほど、若者が職場や仕事に誠実に向き合う傾向が高くなっています。

今回のコラムでは、「The Deloitte Global 2022 Gen Z and Millennial Survey」より、ミレニアル世代とZ世代の若者が好む仕事環境について詳しくご紹介して参りましたが、いかがでしたでしょうか。

まとめますと、リモートワークを中心としたワークライフバランスの強化、賃金や福利厚生の見直し、メンタルヘルスケアの充実、平等な権限・機会の付与が、レニアル世代とZ世代の若者の活躍の鍵となります。ミレニアル世代前半や、X世代が企業の重鎮を多く占める現在、時代の変化に合わせミレニアル世代とZ世代の若者の思いを把握し、仕事環境の改善が求められています。

特に、若者人口の多いインドネシアでビジネスを展開される場合、採用する人員の多くがミレニアル世代後半やZ世代の若者となります。弊社インドネシア総合研究所のインドネシア拠点でも、多数のミレニアル世代後半やZ世代のインドネシア人の若者が活躍しています。

弊社では、日本の企業様のインドネシア進出において、現地人材への業務委託からや正式採用に至るまで、手厚くサポートさせていただいております。インドネシア人労働者の思いを反映した仕事環境や、日本の企業文化を交えた社員教育などのご相談にもお応えしております。インドネシアにて、現地人材の採用をご検討される際には、是非弊社インドネシア総合研究所へお気軽にお問合せくださいませ。

株式会社インドネシア総合研究所
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