インドネシアのラマダン(断食月)とは?目的・過ごし方・注意点を解説

💡3分でわかる!この記事のポイント
ラマダンとは何ですか?

ラマダンとは、イスラム暦(ヒジュラ暦)の9番目の月です。イスラム教徒にとって非常に重要な期間で、日の出ではなく夜明けから日没まで飲食などを控える断食(Puasa/プアサ)が行われます。

ラマダンではなぜ断食をするのですか?

単に食事を我慢することが目的ではなく、自らの欲望を抑え、心身を律し、神への信仰を深めることが大きな目的です。また、困窮している人への理解を深めたり、助け合いの精神を育んだりする機会でもあります。

ラマダン期間中は一日中何も食べられないのですか?

一日中ではありません。断食を行うのは夜明けから日没までで、夜明け前には「サフール(Sahur)」と呼ばれる食事をとり、日没後には「イフタール(Iftar)」で断食を終え、食事をとります。

ラマダン期間中はすべてのイスラム教徒が断食をするのですか?

いいえ。病気の人や高齢者、月経中・産後の女性、妊娠・授乳中の女性、長距離を移動している人など、健康状態や事情によって断食が免除される場合があります。状況によっては、後日断食を行う「Qadha(カダー)」や、食事を提供する「Fidyah(フィディヤ)」などが必要になります。

インドネシアではラマダン期間中も仕事や学校は通常通りですか?

基本的には仕事や学校も行われますが、断食や礼拝に配慮してスケジュールが変更される場合があります。2026年には学校の学習スケジュールが調整されたほか、ジャカルタ特別州政府でもASN(国家公務員)の勤務時間が通常時から変更されました。

ラマダン期間中にインドネシアへ出張する際の注意点はありますか?

ラマダン中も通常通り生活することはできますが、断食をしている人への配慮が大切です。特に日中は、人前での飲食や喫煙などに配慮するほか、飲食店の営業時間や取引先の勤務時間が通常と異なる可能性もあるため、事前に確認しておくと安心です。

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イスラム教徒が多く暮らすインドネシアでは、毎年「ラマダン(Ramadan)」と呼ばれる期間に、多くのイスラム教徒が断食を行います。ラマダンというと、「夜明けから日没まで食事をしない期間」というイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。

しかし、ラマダンの断食は単に食事を我慢するためのものではありません。イスラム教においてラマダンは、自らの欲望を抑え、信仰を深めるための非常に重要な期間です。

また、イスラム教徒が多いインドネシアでは、ラマダンによって人々の生活リズムや飲食店の営業時間、消費行動なども大きく変化します。

今回のコラムでは、ラマダンとは何か、イスラム教徒が断食を行う目的やラマダン期間中の過ごし方についてご紹介します。

目次

ラマダンとは

ラマダンとは、イスラム暦(ヒジュラ暦)の9番目の月を指します。

イスラム教では、このラマダン月に断食を行うことが重要な宗教上の義務のひとつとされています。

断食はインドネシア語で「Puasa(プアサ)」と呼ばれ、ラマダン期間中、イスラム教徒は夜明けから日没まで飲食を控えます。

また、ラマダン期間中に慎むべきものは飲食だけではありません。

喫煙や性行為などを控えるほか、怒りや悪口、嘘、争いなどを避け、普段以上に自らの行動や心を律することが大切だと考えられています。

そのため、ラマダンは単なる「食事をしない期間」ではなく、心身を律し、信仰と向き合う期間といえます。

なお、イスラム暦は月の満ち欠けを準とする太陰暦のため、西暦上のラマダンの時期は毎年少しずつ早まります。

ラマダンの目的

ラマダンの最も重要な目的は、神様に近づき、自身の信仰心を清めることです。

ラマダン期間中は、欲を捨て、身も心も一番綺麗にした状態で、神様への献身と奉仕に没頭します。また、ラマダンを終えて迎えるイドゥル・フィトリ(レバラン)は、家族や友人などとのつながりを改めて大切にする機会となっています。

インドネシアでは、レバランの時期に「Mohon maaf lahir dan batin(これまでの過ちをお許しください)」という言葉を交わし、互いに許しを求める習慣があります。

また、レバランを家族とともに過ごすため、都市部などで暮らす人々が故郷へ帰省する「Mudik(ムディック)」も広く行われています。

参考WEBサイト:インドネシア・ウラマー評議会(MUI)公式サイト「イドゥル・フィトリ1447年を迎えるにあたり、MUIが9つの勧告を発表」
イスラム・アン・ヌール大学ランプン公式サイト「ハラル・ビハラルの言葉の意味と、社会・宗教的役割の本質」

上述の目的の他に、ラマダンにはその他の目的もいくつか存在します。

恵まれない人の気持ちを理解する

ラマダンの期間を通して、生活が困窮し、食事ができない人の気持ちを理解し、その様な人たちを助ける気持ちを忘れないようにすることも、ラマダンの目的です。

自立心を育てる

ラマダンを円滑に行うには、自分自身の欲望を抑える必要があり、またお祈りの時間の管理も必要になります。

その様なことを通して、他人に依存することなく自立した精神を育てることも目的の一つです。

健康維持

ラマダンの期間中は、通常より食べる量が減り、体の中の不純物を出す手助けにもなります。

ラマダンの期間を通して、1年間の体内にたまった毒素を出し、健康維持にも繋げていきます。

相互扶助の精神の強化

イスラム教徒の連帯感を高め、互いが助け合うことも、目的として教えられています。

ラマダン期間中、恵まれない人々に食べ物や飲み物を分け合う、という行為はよく行われています。

道徳的精神を身につける

ラマダン期間中は、食べ物や飲み物を我慢するだけではなく、嘘をつくことや、揉め事を起こすことも禁止されています。

その様な行いを抑制し、自分自身を見つめ直すことで道徳的精神を身につけることも、ラマダンの目的です。

このようにラマダンは、ただ飲食を経つという事だけではなく、様々な目的があるということがわかります。

参考WEBサイト:イスラム・アン・ヌール大学ランプン公式サイト「ラマダンの断食礼拝の意味と目的、その根拠について

ラマダン中の過ごし方

ラマダン期間中は、日の出から日の入りまでの間、飲食を断つため、普段より早く起き、日の出前に家族でご飯を食べます。

これを「サフール」と呼びます。そして、サフールを終えると、夜明けの礼拝(ファジュル)のお祈りを行います。

日中は普段通りに生活を行いますが、いつもよりは活発には動きません。

また、日中にもお昼のお祈り(ズフル)、午後のお祈り(アサル)の2回お祈りがあります。

日の出から、飲食を断ち、次に飲食ができるのは、日没後です。

日没後、「イフタール」という軽食を取り、日没後のお祈り(マグリブ)を終えると、再度食事を取ります。

夜ご飯を食べ終えると就寝し、また日の出前に起床する、という生活を送ります。

ラマダン期間中は、イスラム教徒が多い地域の飲食店は日中殆ど開いておらず、店頭に布がかけられているのをよく目にします。

反対に、夜になるといつもは早く閉めるお店が深夜まで営業していたり、街に露天が並んだり、お祭りのような雰囲気になります。

ラマダン期間中の学校や仕事の変化

インドネシアでは、ラマダン期間中も基本的に学校や仕事は通常通り行われますが、断食に配慮してスケジュールなどが調整される場合が多いです。

2026年のラマダン期間中において。ラマダン初期の2月18日〜21日は、家庭や礼拝所、地域社会などでの自主学習期間とされ、2月23日〜3月14日は学校で授業が行われました。

学校での授業期間中は、体育など身体を動かす活動の強度を抑えることも求められています。また、イスラム教徒の児童・生徒には、コーランの朗読やイスラム教について学ぶ活動などへの参加が推奨されています。

仕事についても、ラマダンに合わせて勤務時間が調整される場合があります。

例えば、ジャカルタ特別州政府は2026年のラマダン期間中、ASN(国家公務員)の勤務時間を月曜日〜木曜日は8時〜15時、金曜日は8時〜15時30分に設定しました。

また、一定の条件を満たすASNについては、出勤時間を前後最大60分調整できる柔軟な勤務時間も導入されています。

一方、医療や交通、緊急サービスなど、市民生活に直接関わるサービスについては、通常通り提供される体制がとられています。

このようにインドネシアでは、ラマダン期間中も学校や仕事を続けながら、断食や宗教活動と両立できるよう、生活に合わせたさまざまな調整が行われています。

参考WEBサイト:インドネシア教育省公式サイト「2026年ラマダン期間中の学習に関する共同通達」
ジャカルタ特別州政府公式サイト「ジャカルタ州政府はラマダン1447年期間中の公務員の勤務時間を定め、公共サービスの最適化を図る」

ラマダン中の断食以外の過ごし方

ラマダンというと断食のイメージが強いですが、イスラム教徒にとっては、断食だけを行う期間ではありません。

普段以上に礼拝やコーランを読む時間を大切にしたり、寄付や人助けを積極的に行ったりするなど、信仰を深めるためのさまざまな行動が行われます。

また、日没後には「タラウィー(Tarawih)」と呼ばれるラマダン期間特有の礼拝が行われ、多くの人がモスクなどで祈りを捧げます。

家族や友人と断食明けの食事をともにする機会も増えるため、ラマダンは自分自身の信仰と向き合うだけでなく、家族や地域とのつながりを深める期間でもあります。

参考WEBサイト:インドネシア・ウラマー評議会公式サイト「タラウィー礼拝はラマダンにおける特別な礼拝である」
ジョグジャカルタ特別州宗教省公式サイト「ラマダン 自己変革と他人への思いやりの時」

ラマダン期間中の断食の免除

ラマダン期間中の断食はイスラム教徒にとって重要な宗教上の義務ですが、健康状態や置かれている状況などによって、断食が免除される場合があります。

例えば、病気によって断食が難しい人や高齢で断食を行うことが困難な人、月経中・産後の女性、妊娠・授乳中の女性、長距離を移動している人などが対象となります。

ただし、「断食が免除される=そのまま何もしなくてよい」というわけではありません。

病気から回復した人や旅行中で断食を行わなかった人、月経中・産後の女性などは、ラマダン終了後に断食できなかった日数分を別の日に行う「Qadha(カダー)」が必要とされています。

一方、高齢や慢性的な病気などによって今後も断食することが難しい場合には、貧しい人に食事を提供する「Fidyah(フィディヤ)」によって補う場合があります。

また、妊娠中・授乳中の女性についても、自身や子どもの健康への影響が懸念される場合には断食を行わないことが認められています。

ただし、その後に必要となる対応は、断食を行わなかった理由やイスラム法学上の考え方によって異なります。

このようにイスラム教では、ラマダンの断食を重要な義務としながらも、健康状態やそれぞれの事情に応じた配慮が設けられています。

参考WEBサイト:インドネシア・ウラマー評議会(MUI)公式サイト「ラマダンに関する重要なイスラム法学」

ラマダンは心も体も浄化し、神様の元で1年の振り返りを行う、イスラム教徒にとって非常に重要な期間であります。

そのため、ビジネスの商談等で渡航される場合は、できればラマダン期間を避けた方が賢明かもしれません。

ラマダン期間中に渡航する場合は、匂いのする食事を現地の修行中の人の目の前で食べないようにするなど、イスラム教徒の人を尊重し、思いやりを持った行動をとることが必要であると言えます。

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