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【コラム】インドネシアの牛乳事情 2022年版
- 2022年7月4日

2019年に弊社コラムにてインドネシアの牛乳事情をお伝えしましたが、2020年の新型コロナウイルス流行後の牛乳消費に関する分析がインドネシア中央統計局(BPS)から発表されましたので本コラムでご紹介します。
2019年の弊社コラム「【コラム】インドネシアの牛乳事情(https://www.indonesiasoken.com/news/column-gyuunyuujijyo/)をご覧ください。なお、本コラム中のデータ及びグラフはインドネシア中央統計局発表のものを使用しています。
生乳か、それ以外か
まずはインドネシアにおける乳製品流通事情について簡単にご説明します。インドネシアで生産されている生乳は約95%がジャワ島内で生産されています。しかし、生乳は要冷蔵での保管が必要なため、他島への流通は輸送中の冷蔵管理が難しいです。従って現在は脱脂粉乳や練乳、ロングライフ牛乳といった形態での流通がメインとなっています。
ロングライフ牛乳とは130~150度の高温で滅菌して、無菌状態で充填したものです。現在インドネシアでは三井物産が「KIN」というブランドで飲料タイプの「ブルガリアンヨーグルト」や「フレッシュミルク」を販売しています。
詳しくは弊社コラム【コラム】インドネシアで急増する乳製品需要(https://www.indonesiasoken.com/news/rapidly-increasing-demand-for-dairy-products-in-indonesia/)をご覧ください。
また、インドネシアでは牛以外にもヤギや牛のミルク(susu kambing, susu kuda)も一般に流通しています。なお、本コラムでは牛の生乳を「牛乳」とします。
4 Sehat 5 Sempurna
4 Sehat 5 Sempurna(4つで健康、5つで完璧)とはインドネシア政府が国民の健康のため、10年以上にわたって周知してきたスローガンです。具体的には主食、おかず、野菜、果物の4カテゴリーを摂取しようということです。主食による炭水化物、おかずによるタンパク質、野菜によるビタミンと食物繊維、果物によるビタミン摂取を目的としています。
この「主食、おかず、野菜、果物の4カテゴリーで健康に、そしてそこに牛乳を追加した5カテゴリーで栄養バランスが完璧になる。」というスローガンです。もちろん、牛乳による栄養効果は日々の食事の栄養バランスがしっかり整っているのが前提となります。
2021-2022年の牛乳消費量
以上の背景を踏まえ、2022年3月ひと月あたりの牛乳製品消費量を見てみましょう。ジャカルタ首都特別州の1ヶ月一人あたり消費量は447gで、これは全国平均値の118gと比較して突出して多いです。ちなみに消費量第2位はジョグジャカルタ特別自治州の254g、第3位は西ジャワ州の199g、第4位がリアウ諸島州の193gです。
グラフ:2021年3月の州別月間一人あたり牛乳消費量(単位:グラム)
また、以下のグラフを見ると、インドネシア全体で1ヶ月一人あたりの消費量は7.69%下落しました。11州で消費量が下落し、下落幅が最も大きかったのはバリ州の40.96%でした。次いでジャカルタ首都特別州が40.09%、西スラウェシ州39.30%減少しています。確かにインドネシア全体での牛乳消費量は前年より減少していますが、前年同月比で増加している州も23州あります。
グラフ:2021年3月前年同月比州別月間一人あたり牛乳消費量変化(単位:%)
新型コロナウイルス流行下における乳製品消費量変化の考察
新型コロナウイルス流行中、インドネシア政府は在宅勤務を推奨し、大規模社会制限(PSBB)や小規模行政単位の行動制限(PPKM)を発令しました。これによりインドネシアの消費パターンや購入方法も変化し、オンラインショップでの購入が増加しました。PSBBやPPKMに関する詳しい説明はこちらをご覧ください。(https://www.indonesiasoken.com/news/column-psbb-and-ppkm/)
また、インドネシア政府は2021年に国家景気回復プログラム(Program Pemulihan Ekonomi Nasional)を発表しました。これは新型コロナウイルスによる景気悪化を少しでも減少させるための政策です。
上記の国家景気回復プログラムや4 Sehat 5 Sempurnaスローガンを受け、インドネシア国内でも栄養のある食事を摂ろうという機運が高まりました。そこで栄養のある食品として注目されたのが牛乳でした。また、牛乳は高級な酪農生産物としてインドネシア経済成長を向上させる役割もありました。牛乳消費量の増加は、中間所得層の健康志向の高まりによって後押しされたものでした。
新型コロナウイルスも落ち着きつつあり、社会生活も元に戻りつつあります。
弊社はインドネシアの乳製品業界への視察手配の実績がございます。
また、本コラムで使用したBPSの報告には、練乳、脱脂粉乳、乳児用粉ミルクに関するデータや分析もありました。弊社ではそういったデータの収集、分析、翻訳も行っております。
インドネシアにおける消費者調査や企業調査については弊社が得意としている分野です。これら調査から得られた販売ターゲット先リストのご提供から調査結果に基づいた現地での販売戦略策定、現地販売の当局許認可取得、販売会社の設立に至るまでインドネシアでの皆様の販路開拓にご興味がおありの方は是非弊社までお問合せ下さい。
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